| おはようございます。院長の晝間康明です。 早速ですがご質問にお答えします。
医療には原因除去をする原因除去療法と原因は除去できないので症状だけを改善する対症療法というものがあります。再発を防ぎ長期の安定を保つためには原因除去が必要です。
叢生の原因とは、顎骨に対して歯が大きすぎることですので原因を除去するためには歯を小さくするか、顎を大きくするか、歯の本数を減らすかになります。 歯は小さくすると歯の鎧とも言えるエナメル質を薄く傷つけるので可能なかぎり避けたい方針です。また、「ひどい叢生」を改善するためにエナメル質を削る場合はかなりのエナメル質を削らなければならず、エナメル質を失うだけではなく隣接する歯の根が近接して将来的な歯周病のリスクも高めてしまいます。 顎骨を大きくすることは、身長160cmの人を180cmすることができないように顎骨を思い通りの大きさに大きくすることもできません(何らかの理由で成長が阻害されている場合にその原因を取り除き本来の成長を取り戻すことは可能です)。現在、顎骨を拡大すると言われている矯正治療のほとんどは歯を傾斜させて見かけ上の歯列の幅を広げているだけで実際に顎骨は広がっていないものです。
従いまして「ひどい叢生」を原因除去して治療するためには、抜歯による矯正治療が必要です。抜歯による矯正治療をすれば、原因が取り除かれているために治療開始前の「ひどい叢生」に戻ることはまずありませんし「半永久的にリテーナー」を使用する必要はないと考えております。当院では先代の院長である父が抜歯による矯正治療を行った患者さんが10年以上経過して虫歯や歯周病の予防のために来院されることが多いのですが、「半永久的にリテーナーを使用」していないにもかかわらず元通りの叢生になっている方は経験したことがありません。
また、リテーナーは動的治療後のかみ合わせを安定させるための一時的なもので、その後の安定は患者さんの噛む力や頬・唇・舌のバランスと調和することで安定するものと考えています。リテーナーを長期に装着することで患者さんの肉体的な負担や経済的な負担も発生すると考えているので基本的なリテーナー使用期間は2〜3年としています。例外的に、歯根が短い症例や歯周病が進行していた症例、前歯部のすき間が大きかった症例はワイヤーで固定する場合がありますが、その範囲を最小限にするようにし半永久的にメインテナンスすることで虫歯と歯周病予防をしています。
現在の詳細が不明ですのでなんとも言えませんが、リテーナーを使用しなければ安定しないようであればnanaさんの体が矯正治療で作られた歯並びを受け入れられないということになります。そのような状況を改善するために対症療法ではなく原因除去療法である抜歯による再矯正が必要かもしれません。
以上、取り急ぎ回答とさせていただきますがご不明な点があればお気軽にお尋ねください。
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