| 矯正専門医が、一般歯科医に対して講習会を開き、矯正治療の知識を教授することは、<未熟な医師>と<不幸な患者>を矯正専門医自ら増殖させている、というのは、一面まさにその通りです。志の高い一部の矯正医達は、これまで一貫してこれを非難してきましたが、そもそも(少なくとも矯正に関しては)日本の歯科大学における教育システムそのものが曖昧で、その延長線上にある学会も、自己欺瞞のまま事なかれ主義で運営されている実体があり、矯正医の質と資格が乖離した現実があります。その具体的な例が認定医制度といえるかと思います。
以下、ご質問に対する返答ですが、まず、その矯正医に対するルヒさんのご意見は正鵠を射ているとしても、それが矯正治療を受けるうえでの不安材料というのは、考え過ぎかと思います。それは、その先生の行為が道義的に受け容れ難いものであったとしても、その先生の矯正治療の良し悪しとは直接関係することではなく、<先生方はとても丁寧に事前説明をして下さり、信頼できるお医者さまである>と感ずるかぎり、ルヒさんがそこで矯正治療を受けることに何ら問題はないと思うからです。 その先生の姿勢を擁護するものではありませんが、矯正歯科医院に矯正患者を紹介してくる一般歯科医は、大半が矯正を手掛けていない、またそのつもりもない先生方ですが、一方、矯正をよく勉強し、そのむずかしさと怖さを十分承知した歯科医であることが少なくありません。怖いのは、矯正をよく知らないまま一般歯科医が手を出すことで、矯正専門医が一般歯科医に<矯正のむずかしさと怖さ>を講習会で教え込むとしたら、講習会もあながち悪いことばかりではありません。(ただ、ホームページの掲示板に書かれていたという内容からすると、そのような高邁な志の先生ではなさそうですが。) 矯正歯科医が一般歯科医に対して講習会を開く理由は、自院に矯正患者を紹介してくれる先生を増やしたいという思惑があること、講習会がよい収入源になること、名声が得られる(と思っていること)。残念ながらこのあたりが本当の理由かと思います。
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