| こんにちは.晝間康明@ひるま矯正歯科です. 御質問を頂きありがとうございました.
子供の矯正に対するデメリットは少なく,矯正を行なうには最も適した時期です.これは,成人に比べて骨格や筋肉などの軟組織が完全に成熟する前に歯並びをきれいにして噛み合せを安定させる事が骨格や軟組織も適応させ調和した適切な成長を促すからです. 子供の矯正治療において患者さんが大変な点としては御指摘のように ・痛い事 ・ハミガキがしつらい 以外に,「定期的な通院を確実に行なう大変さ」が挙げられると思います. 途中で通院を挫折したり,遅刻気味になると治療結果は不十分になる事があります. しかし,患者さん本人に治療に対する積極的な意志があれば克服できる問題であり,これらの問題があってもきちんとした歯並びを成人前までに創るメリットは大きいと考えています.
> 歯骨の薄い日本人女性は、ワイヤーの引力に勝てなくて > 歯列が整ったとしても歯肉が痩せて、歯の根本に三角のスキマが > できてしまう事があると書かれていました。 これは,ブラックトライアングルと呼ばれておりますが,成人の矯正治療に起るものであり子供の矯正で起る事は殆どありません. ブラックトライアングルは,歯並びが悪い状態を成人まで放置していた事で,歯が磨き辛く歯と歯の間で歯周病が進行しており,その後に矯正治療で歯をきれいにならべた際に今まで確認できていなかった歯と歯と歯肉の間に三角形のすき間が現われるものです. ブラックトライアングルになってしまうと元に戻せませんし,成人の矯正治療の場合はある程度覚悟して治療を開始しなければなりませんが,成長期の矯正治療では殆ど心配する事はありません. ブラックトライアングルにならないためにも成長期に矯正治療を開始した方が良いと言えます.
> また矯正によって、ハミガキが不十分な状態に陥り歯周病に罹りやすく > 歯肉が痩せる一因とも書かれていました。 > そして痩せた歯肉は現在の医療では、二度と戻らないとも書かれていました。 これはその通りですが,矯正治療開始前から歯周病予防のクリーニングや歯石除去を行い,矯正治療中もワイヤー調整の際にクリーニングや歯石除去を行なう事で矯正治療中の歯周病予防が可能です.また,歯周病が進行するのは20代後半からと考えられておりますので20歳前に矯正治療を終えていく事で,歯の磨きやすい歯並びとなり,矯正治療を行なう事で歯周病になるどころか歯周病の予防につながります.
総合的に判断してお子様の矯正治療はメリットが大きいため,世界的に見て20歳までに矯正治療を終えていくのが良いと考えられております.矯正治療を行なう事に対してお母様がお子様に対して後ろめたく感じる必要は全くなく,むしろお子様が成人になった暁には 「お母さん,矯正治療をしていてくれてありがとう.」と感謝される可能性の方が高いと考えます.
以上,参考になれば幸いです. 実際に来院された際は,同じような咬合状態の症例でも治療開始時期が成長期か成人かでブラックトライアングルがどのようにできるかの違いを模型を使って御説明する事ができると思いますのでお申し出下さい.
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