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■3684 / 1階層)  クリアアライナーによる矯正
□投稿者/ 晝間康明@ひるま矯正歯科 -(2009/12/15(Tue) 11:44:47)
http://www.hiruma.or.jp/
    こんにちは.晝間康明@ひるま矯正歯科です.
    マウスピース型の矯正治療に関しては2回目のメールセミナー内でも簡単に触れていますが回答させていただきます.

    歯を動かすための装置は,大きく固定式の矯正装置と可撤式(取り外し式)の矯正装置に分かれております.固定式の矯正装置とは通常の歯にブラケットを接着してワイヤーを通して歯を動かす矯正治療を意味し,可撤式の矯正装置とはご質問にあるマウスピース型の矯正装置,スプリング型のリテーナー,床矯正,顎機能矯正装置などです.
    以下にマウスピース型の矯正装置を含めた可撤式の装置のメリット・デメリットを大まかに列挙します.

    ・可撤式の装置のメリット
    医院側にとって口腔内で装置を作らなくて良いため診療室での時間短縮となり,多くの患者さんを見る事ができる
    患者さんにとっては取り外しができるために歯を磨く時に外したり食事の時に外せるので快適である
    装置が取り外せる(マウスピース型はさらに透明なので)目立たない

    ・可撤式の装置のデメリット
    歯と装置が接着されていないために充分な矯正力をかけることができない
    歯の移動に伴い可撤式の装置がずれてきて正確な歯の移動が困難になる
    歯を傾斜させる移動は可能でも歯軸を平行に移動する歯体移動は殆どできない
    患者さんの使用時間によって歯の移動が異なるので,治療結果が患者さんの協力次第によって大きく異なる
    取り外しの際にきつくなり痛みがある(場合によっては外すときに爪が剥がれることがある)

    現在のマウスピース型の矯正装置の原型は,スプリング型のリテーナーや床矯正にあります.
    当院でも矯正装置を除去したあとの軽度の後戻りには再度固定式の矯正装置を装着することを患者さんがためらわれるのでスプリング型のリテーナーを使用していました.しかし,細かい調整には不向きで通常の矯正装置を装着した方が早く確実に治せますので現在ではほとんど使用していません.
    スプリングリテーナー http://www.aso-inter.co.jp/seihin_annai/Retainers2.html

    スプリング型のリテーナーからマウスピース型の矯正装置になり,多少は細かい調整が可能となったようですが通常の矯正(マルチブラケット法による唇側からの矯正)に比べれば矯正専門として許容出来るものではありません.したがって,適応症例はほとんど歯並びや噛み合せに問題の無い(矯正治療を行う必要があるかどうかの)方の矯正治療となります.

    では,なぜこんなにも多くの歯科医院でマウスピース型の矯正装置を利用した治療を宣伝しているのでしょうか?
    業者の話によるとマウスピース型の矯正の6割近くは一般歯科医院で購入されるとのことです.
    通常の矯正治療は,治療を行うためにブラケット,ワイヤー,プライヤーと言った器具や材料が必要ですが,装置が壊れた時や様々な症例に対応するために多くの在庫を用意しておかなければなりません.したがって矯正治療を始めるには大きな初期投資としての費用がかかります.
    しかし,マウスピース型の矯正であればお口の型をとって(印象採得して模型製作),技工所にマウスピース型の矯正装置を作成する依頼を出せば良いだけなので在庫を抱える必要がなく,初期投資をせずに矯正治療が可能となります.さらにワイヤーを曲げたり,ブラケットを接着する矯正歯科独特の技術の習得も必要なく,患者さんにマウスピース型の矯正装置を渡すだけなので診療時間も短く,多くの方を診療することが可能となり利益も大きくなります.
    したがって,矯正の患者さんがあまり多くない一般歯科医院や矯正治療を始めたばかりの医院が利用するのにとても向いているのです.
    しかし,このような医院では,矯正治療の経験も不足しておりますのでマウスピース型の適応症例なのかどうかをきちんと判断する力も不足していることも多く治療を失敗する可能性も高くなります.もし上手く治らなかった場合通常の矯正治療に切り替えて対応することも出来ませんので,失敗のフォローも出来ません.

    マウスピース型の矯正装置を売る業者は,
    「すべての症例を治せるわけではありませんので,先生が症例を充分に審査して治療に使用して下さい」
    と言い治療の責任を歯科医師にあるとしますし
    マウスピース型の矯正装置で矯正治療をする先生は患者さんに対して
    「この矯正装置は長い時間使用しないと治りません,もし治らなかったらあなた(患者さん)が使用しないからですよ」
    と患者さんに責任があると言います.
    結局,最終的な治らなかった責任は患者さんに押し付けられることが少なくなく,このような医院によりマウスピース型の矯正治療をして,すでに5年も立っているのに全く治っていないばかりか治療前よりモノが噛めなくなったと相談にこられた方も実際にいらっしゃっています.

    一方,矯正専門の医院でもマウスピース型の矯正を宣伝する医院も少なくありませんので混乱されるでしょう.これは,実際の治療でマウスピース型の矯正装置をほとんどしないにも関わらず宣伝することでマウスピース型の矯正治療を希望している患者さんを引き込むための撒き餌のようなものとして利用している場合が多いようです.
    そのような医院でマウスピース型の矯正をしようと医院を訪れると,
    「あなたのかみ合わせはマウスピース型の矯正には向いていませんので通常の矯正をしましょう」
    という場合や,患者さんの希望に合わせてマウスピース型の矯正治療を開始しても,
    「あなた(患者さん)がマウスピース型の矯正を希望したから治療を開始しましたが限界ですの通常の固定式矯正治療を行いましょう」
    となる場合も多くあり,固定式の装置に切り替えたことで新たな治療費がかかる場合や転医をせざるを得ない場合もあります.
    以上のような問題はすべて当院に訪れた患者さんから伺ったお話です.

    このような事があることから,私はマウスピース型の矯正治療の宣伝もしませんし,質問者さんにお薦めもしません.
    しかし,質問者さんがどうしてもマウスピース型の矯正治療を希望される場合や,マウスピース型の矯正治療で治療可能かだけでも確認したい場合は,下記の要件を満たす歯科医院で相談することをお勧めします.
    ・マウスピース型の治療例が5症例以上あり,きちんと治っていることを写真などで具体的に説明してくれる(歯科雑誌や成書の写真を見せて説明する場合も多いようなので,実際にその医院で治ったものを確認することをお勧めします)
    ・マウスピース型の矯正治療で治らなかった場合,通常の矯正治療に切り替えてくれる(通常の矯正治療も可能な医院であること)
    ・その際の費用も事前に説明してくれる
    ・治療期間の予測期間を治療開始前に説明してくれる
    ・上記の内容を治療開始前に文書で渡してくれること(多くは治療後に言った言わないでトラブルになっていますので文書をもらい保存しておくことをお勧めします)

    以上回答とさせていただきますが,誹謗に近い品の無い回答となり不快にさせてしまったことをお詫びします.あまりにも矯正治療による失敗で後悔されている患者さんからの相談が絶えず,抽象的な表現では伝わらないと考えこのような回答になりました.お察しいただければ幸いです.
    御不明な点があれば改めてご質問下さい.

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