| お母様は、すでにいくつかの過去ログ(これまでにあった似た質問とその回答)をお読みになられようですので、これからの回答も大体予想できるかと思いますが、その前に、ある矯正歯科の総合サイトでインタビューを受けた際に、この「質問コーナー」での治療に対するこだわりについて答えている所があり、それを少し引用しておきます。 その一つは非抜歯治療に対する批判であり、二つ目は裏側(舌側)装置に対する批判、そして三つ目について以下のように書かれています。 『3つ目は主に小児歯科が扱う早期矯正治療に対してです。3歳や5歳の子供の早期発見早期治療というのは、一般的には間違いじゃない。けれども矯正の場合には早く装置を入れれば早く治りますよという誤解をあたえる危険性がある。子供の矯正治療というのは、多くが親不知まで診ますから18歳ぐらいまでということになります。3歳で始めても18歳まで。それを親に言わないで、早く早くと治療を急かす。早期発見は間違いじゃないが、早期治療というのは必ずしも正しくないんです。 例えば、3歳から治療をして、将来の外科手術を回避できるかといえば、できないんです。僕の場合はこの子は将来外科手術を受けなければ治らないと思えば、はっきりそう言います。ところが、それを言わないで期待を抱かせたまま、小・中・高と学生の青春時代に矯正の装置をずっと入れさせて、18歳ぐらいになってやっぱり治らないから外科手術です、というのが本当に許せない。患者さんはお金と青春をどうやって取り戻せばいいのか。 前述の榎先生の有名な言葉に「Watchful neglect(注意深い観察下に放置せよ)」というのがあります。つまり僕ら矯正医のすべきことは、検査をして資料は取りますが、「Watchful neglect」でもって、一番いいタイミングで一番いい治療を短い期間でする、ということなんです。』
以上が引用部分で、この話をしたのは3,4年前ですが、考えは今も変わりません。現在当院では、未就学児童に動的装置(何らかにせよ矯正装置)を入れることは皆無のはずです。お嬢様が私の身内の子であったとしたら、現時点での矯正治療(動的処置)はしないでしょう。入っていれば外します。今の時期は、規則正しい食生活と歯磨き習慣を身に付けること、そして身体はもとより、何よりも精神的な健康の育成こそを大事にしたいと思います。
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