| 加奈さんこんにちは
まず始めに顎関節症に関する御質問に対して答えさせていただきます. 《頭痛と首のコリになやまされています。とくに寝ているときや朝がつらいです》といった症状は顎関節症の一症状だと思われます.原因としては寝ている間に顎を動かす筋肉が歯ぎしりなどにより過度に緊張して関節が動かなくなったり,顎の関節の内部にある下顎と頭蓋の骨(側頭骨にある関節窩)の間にある関節円板という靭帯で出来た座布団のようなもの(関節の動きを潤滑にする働きを持つ)がずれて,あごを動かす時にカクカクと音がするようになったものと思われます. また顎関節周囲の筋肉は肩や首回りの筋肉と密接に関連して運動するので肩凝りやそれに伴う頭痛のある方も顎関節症になりやすいと考えられています.現在の顎関節症に対する一般的な治療法は,スプリントと呼ばれるマウスピースのようなもので関節部への負荷を減らしたり,筋肉の過緊張を和らげたり関節内の炎症を押さえるための抗炎症剤などの薬剤を投与し症状が落ち着いてから開口訓練を行ったりする非外科的,可逆的な治療法が第一選択となっています.
次に矯正治療と顎関節症の関連について答えさせていただきます. 顎関節症の原因は,患者さんの持つ顎関節部に負荷を与えるような習癖の有無,上下顎骨の形態的な不調和といった骨格的な要素,ストレスによる咀嚼筋の過緊張など様々な原因が複雑にからみあっており,その発症のメカニズムは,これらの要因が顎関節部に与える負荷が患者さん自身が持つ許容量を超えたときに発症すると考えられています.したがって長期的な顎関節の健康を考える場合,矯正治療により歯並びを治し口腔内環境を整えておくのは大変重要であると考えられます.しかし,矯正治療をしたからといって肩凝りやアゴの雑音が必ず治るというものでもありません.《全体的に歯が内側に向かって生えているのが気になるのですが(出っ歯の反対)、それも矯正でまっすぐになるでしょうか・・・》との記述から加奈さんの口腔内の不正を想像する事は困難ですが,むし歯や歯周病による欠損が多数あったり,重度の骨格的な不調和が無いのであれば矯正治療で治す事は可能だと思います.もし,歯並びを治す事を最優先とされるのであれば矯正の適応と思われますので,一度口腔内を拝見させてください.
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