| 一般にいうハンダとは鉛と錫を主成分とした合金で、金属同士を接合したり電子回路の基板固定など工業目的によく使われますが、これが歯科材料として用いられることはありません。歯科治療で行われる金属同士の接合は「ろう着」と呼ばれ、ろう着材の金属は金合金(金ろう)か銀合金(銀ろう)ですが、矯正材料に金は用いませんので、使うのは銀ろうのみです。そして、いうまでもなく薬事法の承認(薬事番号)を得た安全な合金です。 金属には、その比重から重金属と軽金属という分け方がありますが、もう一つ、貴金属と非貴金属という分け方があります。金、銀、白金に代表される貴金属は、その産出量が少ないために高価という意味もありますが、耐腐食性に優れている(安定している)ことから貴金属と呼ばれるものです。貴金属のこれらの特性から、健康保険外での歯科材料として重用されているわけですが、銀はそのものに抗菌作用もあり、昔から食器に使われるように口腔内でも安全な金属です。 銀は、高温で加熱でもしなければ通常の状態では酸化しません(錆びません)。銀の変色(黒化)の多くは硫化反応ですが、塩素による変色もあります。硫黄温泉に銀を浸けると急激に硫化反応が起こり変色しますが、市販の硫酸ナトリウムや硫酸塩などの硫黄分が入っている家庭入浴剤でも、硫化反応や塩化反応によって同じように変色します。 リテーナーのろう着部分の変色は、メイさんが使っている入れ歯洗浄剤の影響と考えるのが妥当だと思います。その他の原因は、「銀の変色」をキーワードにネットで調べてみてください、何らかが当てはまるはずです。
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