| <法的になぜこのようなことが野放しに>とは、一般歯科医が矯正治療に手を出すことをなぜ法的に禁止しないのか、というお尋ねかと思いますが、歯科医師法という法律の中の「第4章 業務」の第17条に、「歯科医師でなければ、歯科医業をなしてはならない」という一項があり、これは<歯科医師であれば、いかなる歯科医業もできる>ことを意味しています。 加えて第19条に、「診療に従事する歯科医師は、診察治療の求があつた場合には、正当な事由がなければこれを拒んではならない」とあり、患者側が矯正治療を求めたときに、技術があるのに診療を拒めば違反行為となることを意味しています。このような規定があって、法的には一般歯科医の矯正治療を禁止することは出来ない建前になっています。 <矯正学というのは数年トレーニングしなくては習得できない>というのは事実ですが、いかなる歯科医療も数年のトレーニングが必要です。ただ、アメリカなどは法律学校(ロースクール)のように、矯正専門医になるためには、歯科大学卒業後2年間、矯正専門のマスターコース(MS)を取得しなければ専門医の資格が取れませんが、日本にはこの専門コースがありません。 日本の多くの矯正医は、歯科大学卒業後、大学院(ドクターコース)に入ったり助手として教室に残って研鑽を積みますが、カリキュラムがバラバラということもあって、大学院を出た(博士号取得)といっても、それだけで専門医を名乗れるわけではありません。 日本矯正歯科学会は認定医制度を設けており、さらに専門医制度を設けようとしていますが、学会所属の(勝手な推定ですが)7割が一般歯科医という現状ですから、大本の機構つまり学会が、一般歯科医の矯正治療を撲滅しようとするどころか、奨励しているというのが実状です。つまり、現在日本には制度上矯正専門医というのは存在せず、いるのは矯正歯科医局員か矯正歯科専門開業医というわけです。 今後ともミックさんの望むシステムが、日本に定着するのは極めてむずかしいと思っています。
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