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インタビュー41/Yさん「開咬合 両突歯列 叢生歯列弓 下後退顎」

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歯並びを治すことは体を治すこと 体と同じように歯も大切に考えたい

矯正治療を始めたきっかけを教えてください。

小さい頃から上下の前歯が噛み合わない状態で、上に八重歯もあり、小学校の歯科検診で歯並びが良くないと指摘されていました。食事の時、お肉などが1回で噛み切れないことや、見た目が少し気になっていて「写真を撮られるのがイヤだなあ」と思うこともありました。母も心配だったようで、9歳の時、矯正治療を受けることを前提に自宅近くの歯科医院で診てもらうことにしたのです。先生に私の歯並びは難しいタイプなので、矯正専門の歯科医院で治療を受けることを勧められました。それで訪れたのがOPひるま歯科 矯正歯科でした。晝間先生にくわしく診てもらった結果、矯正治療は必要だけれど歯の生え変わりの時期なので、2、3ヵ月に1度通院して様子をみるとのことで、すべての歯が永久歯に生え変わってから治療をスタートしますと説明を受けました。

矯正治療を受けることに抵抗はありませんでしたか。

晝間先生に上下左右4番、4本の抜歯のあと、ワイヤーを装着して矯正治療をしましょうと言われて驚いたのですが、治療後を想定した歯の模型を見せてもらったら、とてもきれいに整っていたのです。こんなふうにきれいな歯並びになれるのなら矯正治療を受けてもいいなと期待する気持ちが大きかったと思います。それと、歯並びがきれいになれば、写真を撮る時に気になることもないし、食事の時の食べづらさも解消されるのかなとも考えました。晝間先生の説明を聞いて、矯正治療を受けることが自分の将来のためにいいことなんだなということがわかり、矯正治療を受けようと決心しました。

治療は何歳の時から始めたのですか。抜歯はいかがでしたか。

中学校に入学し、すべての歯が永久歯となった13歳の時に矯正治療を始めました。抜歯については、以前グラグラしている乳歯を歯医者さんで抜いてもらったことがあったので、恐怖心はなかったのですが、1日に2本抜くと聞いて驚きました(笑)。実際に抜歯したときは、先生が「大丈夫ですか」と声をかけてくださって緊張がほぐれました。麻酔が効いていたので痛くはないのですが「根っこから抜かれているなあ」という感じはありました。抜歯のあと麻酔が切れるまでは口の周り全体がボワボワする感じがしましたが、とくに大きなトラブルもなく、無事に終わってほっとしました。

初めてワイヤーを装着した時はどんな感じでしたか。

ただただ違和感でしたね。歯に異物がくっついているのは独特の感触でした。食事の時も、慣れないうちは「こんな状態でご飯食べちゃってもいいの?」と、心配になるくらいでした。ワイヤーをつけてもらってから数日は痛みがあってなかなか噛めなかったので、ご飯は小さいおにぎりにしてもらってから口に入れ、噛んでも痛くない奥歯のところで噛むようにしたり、ゼリーなどやわらかいものを選んで食べたりしていました。3~4日すると痛みは落ち着いてきて、普通に食事ができるようになりました。

日常生活に支障はありましたか。

中学校では吹奏楽部に入部したのですが、入学前から中学生になったら矯正治療を始めると決めていたということもあって、楽器を選ぶ際に、演奏する時に歯に負担の少ないフルートかパーカッションにしてほしいと希望を出しました。その結果フルートに決まったのですが、実際に吹いてみると、ワイヤーを調整したあとは、口にフルートをあてるだけでも痛かったです。歯並びが悪いのは上の歯だけだったので、上の歯だけワイヤーをつけるのかと思っていたのですが、噛み合わせを治すには上下の歯を矯正しなければならないとのことで、下の歯にもワイヤーをつけていたので本当に痛かったです。フルートの技術を磨く講習会の日程がワイヤー調整の次の日になってしまった時は練習を見学させてもらいましたが、それ以外のときはちゃんと吹くことができたので、部活動は休まず参加しました。

ワイヤーの装着以外に先生から指導を受けたことはありましたか。

私は舌が生まれつき大きく、無意識のうちに口の中で舌をのばしてしまうようで、晝間先生に、舌が口を押してしまい、その影響で上の歯と下の歯の間にすき間があきやすくなりますと言われました。それを防ぐために、舌の先を日常的に上あごの奥のほうにつけておくよう意識すると良いでしょうと教えていただきました。なるほどと思って意識するようにしているのですが、やはり長年の癖なのか、気がつくと舌がのびてしまいます。今でも時々はっと気づいて舌の位置をなおしています。

矯正治療中、大変だったことはなんですか。

治療中盤のころに上下2カ所にゴムをかけるよう言われました。晝間先生がかけ方を教えてくれたのですが、結構難しかったのと、食事のたびにはずして、食事が終わったらまたつけて…というのを繰り返すのが大変でした。さらにゴムをかけると口が開けづらくなり、会話もしにくくなってしまうのもストレスでしたね。部活動でフルートを吹く時ははずしていましたが、治療期間中、結構長い期間かけていたので、通院時に先生から「今月もゴムをかけてね」と、たくさんのゴムをもらうと、「またか……」という感じでした(笑)。でも歯並びをきれいにするためには仕方ないと思い、頑張りました。

歯並びが改善している実感は、いつ頃ありましたか。

ワイヤーをつけはじめてすぐに、上のほうに生えていた八重歯が下がってきたのがわかって感動しました。矯正の力はすごい! と思いました。妹にも「八重歯がさがってきているね」と言われて嬉しかったです。治療の後半になると、上の歯と下の歯の噛み合わせがよくなってきて、治療前はなかなか噛みきれなかったお肉が噛み切れるようになったんです。実は、ワイヤーをつけ始めたのは11月29日。「いい肉」の日だったんです(笑)。「お肉が噛み切れますように…」という私の思いがこのようなめぐり合わせになったのかなという気もしていますが……(笑)。お肉が気持ちよく噛み切れるようになって、矯正治療を受けてよかったと心から思いました。

OPひるま歯科 矯正歯科はどのような医院だと思いますか。

歯並びのことだけでなく、歯みがきなどメンテナンスの大切さをていねいに教えてくれる医院です。歯科衛生士さんが、「先が細い歯ブラシで歯茎の境目をしっかりみがくと歯周病を防げますよ」など毎回アドバイスしてくれるので、とてもためになりました。教えてもらったことを意識してしっかりみがくと、よい状態を保つことができます。歯みがきの仕方によって、歯の状態は変わってくるんだなあと実感できました。

今は、朝は普通の歯みがきですが、夜はタフトブラシを使い、液体状のフッ素で毎日みがいています。担当の歯科衛生士さんも吹奏楽を習っているとのことで、いろいろお話しするのも楽しかったです。近い将来、妹もOPひるま歯科 矯正歯科で矯正治療を始める予定で、現在定期的にクリーニングに通っています。二人でしっかりケアしていきたいと思います。

晝間先生が私のことを名字ではなく名前で呼んでくれるのも親近感がわいて嬉しかったです。治療のたびに今の状況や気をつけることなどをくわしく説明してくれましたし、「歯の状態はどう?」と聞いてくれたりして気持ちの面でも心づかいをしていただいたので、治療中一度も不安な気持ちになりませんでした。

私は矯正治療を通して、「歯は体の一部」ということに気づくことができました。歯並びを治すことは体を治すことと一緒なんですね。体と同じように歯のことも大切に考えていきたいと思います。

経過観察の後,抜歯治療を行った成長期の開咬症例
診断名:開咬合 両突歯列 叢生歯列弓 下後退顎

今回は9歳の時に、前歯部の叢生(乱杭歯)、ものが噛み切れない(開咬)の改善を主訴に来院し経過観察とメインテナンスを経て抜歯による矯正治療を行った患者Yさんについて解説します。

■初診時 現症および主訴

9歳の時点で上下顎前歯が唇側に突出しながら萌出し叢生と開咬である事を不安に思い来院されました。

顔貌所見

正貌において左右の非対称性を認めず、側貌において下顎の後退感口唇閉鎖時の軽度緊張感口唇の突出感を認めました。

口腔内所見

上顎前歯が唇側に傾斜し突出し、上下顎前歯部に叢生を認め、前歯は開咬でした。臼歯関係は左右ともにAngle class Iで上下歯列の前後的な位置関係に明らかな問題は認めませんでした。

まだ永久歯は完全に萌出しておらず(永久歯は前歯と第1大臼歯のみ)、乳歯と永久歯の混在する混合歯列期でした。上顎左側犬歯は萌出しておらず萌出スペースがない事から顕著な低位唇側転位(八重歯)になる事が予想されました。

X線写真所見

側面頭部X線規格写真(セファロ)により上顎骨と下顎骨の前後的な位置関係は下顎骨が後方かつ下方に位置し、上下顎骨の歯の並ぶ前後的な奥行きはあまりなく、上顎前歯は唇側に傾斜する事で口唇突出感の原因となっていることがわかりました。パノラマX線写真では、まだ萌出していない永久歯は先天欠如することなく存在している事を認めました。 手根骨X線写真では骨の癒合の進行から成長の予測が可能ですが、まだ成長のピークまで時間がかかる事が予測されました。

唾液検査・歯周組織検査

唾液検査では、歯の磨き残しが多くむし歯の原因菌であるミュータンス菌は少なく、むし歯のリスクコントロールはしやすい傾向を認めました。歯周病のリスクである歯肉からの出血は永久歯の隣接面でわずかに認められました。

■経過観察方針

大臼歯関係はAngle class Iで上下顎歯列の前後的なズレは大きくないものの下顎骨の劣成長により下顎後退と診断しました。このような上下顎骨のズレを改善するための上顎骨の成長抑制や下顎骨の成長促進に効果的な方法はないと考えました。また、前歯部の叢生は上下顎骨の大きさに対して歯が大きすぎる事が原因であり、顎骨を大きくして歯を並べようとしても顎骨を大きくすることができず効果がないと考えました。

これらの点から、現時点では積極的な矯正治療の介入は必要なく、永久歯列が完成し顎骨の成長がある程度予測できる頃、かつ学業と矯正治療による通院のバランスがとれる時期を考慮して矯正治療を開始する事が適当と考え、それまでは永久歯の正常な萌出とう蝕と歯周病の予防を行うためのメインテナンスをしながら経過観察を行う方針としました

■動的療開始時

12歳0ヵ月まで経過観察を行い、上下顎ともに第1大臼歯までの永久歯が萌出した段階で検査を行いました。

初診時同様に、上下顎骨は前後的に成長したものの上顎骨に対して下顎骨の相対的な位置は後方のままの成長であり、下顎骨は下方に成長していく傾向も認めました。永久歯の萌出にともない犬歯の唇側転位は進み開咬の改善もあまり認められませんでした。顎骨内に永久歯萌出スペースが少ない事が原因であると診断し、上下顎左右第1小臼歯(4番)を抜歯し矯正治療を行う方針としました。動的治療期間は約30ヵ月と予想しました。

顔貌所見

口腔内所見

予測模型

X線写真所見

動的治療開始時

抜歯後に上下顎に装置を装着して動的治療を開始しました。

■動的治療終了時

動的治療期間および保定期間

動的治療期間は予想の30ヵ月より短い28ヵ月で動的治療を終える事ができました。保定期間は24ヵ月を予定し現在は保定中です。

顔貌所見

動的治療後の評価では、上下顎前歯の後退、鼻骨・オトガイ部の成長によりE-lineが前方に移動し総合的に口唇突出感や口唇閉鎖時の緊張感は改善し、口元の良好なバランスを得ることができました。

口腔内所見

上下顎左右4番を抜歯し上下歯列の叢生は改善され犬歯の低位唇側転位も改善されました。左右対称の抜歯により上下歯列の正中も一致しました

X線写真所見

動的治療後の評価では、パノラマX線写真所見において、全顎的な歯根吸収や歯槽骨吸収などを認めませんでした。セファロX線写真の重ね合わせにより上顎前歯の後退、鼻骨・オトガイ部の成長により口唇が後退して突出感と緊張感が改善した事がわかりました。また、下顎骨の成長は起きたものの頭蓋に対して下方への成長が大きい事が分かりました。パノラマX線写真により親知らず(8番)が形成されてきた事がわかります。

動的治療前後の比較

■う蝕(むし歯)と歯周病のトータルリスク比較

う蝕のリスク比較

う蝕のリスク合計は初診時唾液検査「13」→動的治療開始時「9」→保定開始時「8」と低い状態で安定しました。SM菌のスコアは低いままで安定し、唾液分泌量が増加し緩衝能も高くなりリスクが減少したものの、プラークの蓄積量(磨き残し)が増えてきてリスクが増加する気配を感じるので保定期間中により徹底したブラッシングの指導を行っていきます。

歯周病のリスク比較

歯周病のリスク合計は初診時「4」→動的治療開始時「4」→保定開始時「5」と低い状態で安定していました。矯正治療後に大臼歯を中心とした点状の歯肉出血が認められた事で歯肉炎と判断しリスクが上昇しています。今後の成長により歯肉炎から歯周炎になるリスクが高まりますので保定期間中に歯周病予防の指導を徹底していく必要があると考えます。

PCR、BOP、4mm以上のポケットの比較

●PCR(むし歯と歯周病の原因菌の付着を示す歯の磨き残し)
●BOP(歯周病の原因菌による炎症を示す歯肉からの出血)
●4mm以上の歯周ポケット(歯周ポケットが4mm以上になると歯周病の原因菌による歯槽骨

5分間刺激唾液分泌量の比較

う蝕と歯周病の合計リスクの変化

■考察

Yさんは永久歯と乳歯の混在する混合歯列期に当院を受診されました。保護者の方はYさんの歯並びと噛み合わせを心配されて「子どもの歯を早く治してあげたい、負担を少なく治してあげたい」とお考えでした。しかし、混合歯列期の矯正治療(1期治療、早期治療)が十分な効果を得られない症例が多く存在し、Yさんも矯正の精密検査を行ったところ1期治療の効果がない症例と診断しました。Yさんのように上の前歯が出ているお子さんの矯正治療のガイドラインとして厚生労働省の管理するMinds(マインズガイドラインセンター)でも、早期の矯正治療を行わない事を強く推奨しています。

マインズガイドラインセンター
http://minds4.jcqhc.or.jp/minds/pub_orthodontic-in-children/pub_orthodontic-in-children.pdf#view=FitV

Yさんは1期治療を行わずにむし歯と歯肉炎のリスクをコントロールし永久歯の萌出を促し矯正治療(2期治療)に備える事とし、永久歯が生え揃い上下顎骨の成長の方向性もある程度予測可能な頃に2期治療を開始しました。このような治療計画により1期治療によるYさんの肉体的な負担や通院する時間的な負担、保護者の経済的な負担も過度に与える事なく今後も安定を期待できるきれいな歯並びとしっかり噛める噛み合わせを獲得する事が出来ました。

動的治療開始前の経過観察時、歯の磨き残しが増えたり減ったりするのでリスクを低い状態に安定して保つ事は難しかったのですが、動的治療期間中にむし歯・歯周病のリスクコントロールについて伝え続けた事、歯を抜歯したり28ヵ月もの時間をかけて矯正治療により歯並びを治した事から自分の歯を守る意識も高まった事も大きな成果と考えます。今後はリテーナーを使用しながらメインテナンスを行いむし歯・歯周病のリスクコントロールを行い、より健康で安定した口腔内を守ります。

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