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インタビュー43/Fさん「上突咬合 叢生歯列弓 下後退顎」

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「歯並びが原因のトラブル…… 矯正治療ですべて解決しました」

●矯正治療を受けようと思ったきっかけを教えてください。

小さい頃から下の前歯がデコボコに生えていて、小学校の歯科検診で歯並びの悪さを指摘されていました。歯も磨きにくく、高校生くらいの時にむし歯がたくさんできてしまい、歯医者さんから「将来のためには、矯正治療をして歯並びを治したほうがいいですよ」と言われたのです。両親にも相談はしましたが、高校生活が忙しかったし治療費も高額なので、社会に出て働くようになったら自分でお金を貯めて治療を受けようと思っていました。

でもそのまま時が過ぎてしまい、30歳になったころ歯並びが原因と思われるトラブルが少しずつ出てきました。食事の時に顎がはずれやすくなったり、話している時に舌を噛んでしまうことが多くなったりして、やっぱり矯正治療を受けた方がいいかもしれないと考え始めました。結婚、出産が早く、子育ても一段落した時期だったので、矯正治療を始めるのは今だ!と思い、歯科医院を探し始めました。

●OPひるま歯科 矯正歯科で治療を受けようと思った理由を教えてください。

歯科医院はインターネットで探していました。OPひるま歯科 矯正歯科は当時の職場から近かったことや、通院している知りあいがいたこと、そして何よりも、矯正専門の歯科医院であることから、まずはカウンセリングを受けることにしました。カウンセリングを受けた結果、歯並びが悪いということだけではなく、歯周病の症状があることがわかりました。診断のほかに、歯周病の原因や歯の健康についてもくわしく教えていただいたことを思い出します。通いやすいことと、矯正専門の先生にしっかり診てもらえるという安心感から、OPひるま歯科 矯正歯科で治療を始めることに決めました。

実際に治療が始まると、ワイヤーを装着する前に歯茎の炎症をおさえましょうと説明を受けました。治療のスタートは歯石の除去からだったのですが、これが結構痛くて……(笑)。でも、歯みがきの仕方をおそわり、しっかりと口の中をきれいにしてもらったら歯茎の炎症はおさまりました。そのおかげで、以前は歯を磨くたびに出血していたのですがそれもなくなり、歯間ブラシも通しやすくなりました。自分ではしっかり歯みがきしていたつもりでしたが、できていなかったことに改めて気づき、歯茎の健康の大切さを実感しました。

●ワイヤーの感触はいかがでしたか。抜歯はしましたか。

歯茎の状態がよくなってきたら、いよいよ矯正治療が始まりました。まずは上の左右4番、下の左右5番を全部で4本抜歯しました。顎の骨と歯の大きさが合ってなく、歯が入りきらないことがデコボコの原因だったので、歯の本数を減らしたうえで、きれいに並べていきましょうと説明を受けていたので、抜歯に対して抵抗はありませんでした。

初めてワイヤーを装着した時は、予想に反してあまり痛くなかったのです。ワイヤーが歯肉にあたって口内炎ができてしまいましたが、それも1週間くらいで気にならなくなりました。治療が進むにつれてワイヤーの調整で太いものに変えていくのですが、ワイヤー調整の日はしめつけられるような痛みがありました。でも次の日には痛みがおさまっていました。ワイヤーで我慢できないほど痛かったということはなかったと思います。

矯正治療の期間中は、野菜など繊維質の食べ物がワイヤーにはさまってしまうので、生野菜を控えるかわりにスープにたくさん野菜を入れるなどして野菜不足を補っていました。途中、奥歯の上下がしっかり噛み合わない時期があったのですが、その時はやわらかい煮魚にしたり、肉団子のスープにしたりなど、料理を工夫しながら食事をとるようにしていました。

●アンカースクリューも装着したのですね。

はい。口を閉じた時の緊張感が強いので、アンカースクリューを使って歯を上のほうに移動させましょうと勧められました。小さなネジを歯茎の骨の部分に埋め込むと聞き、少し不安になりましたが、やってみたら全然痛くなかったですし、埋め込んでいる違和感のようなものもまったく感じなかったですね。矯正治療には、ワイヤーだけでなくいろいろな方法があるのだなあと感心しました。

●歯並びがよくなってきたことを実感したのはいつ頃ですか。

下の前歯がデコボコだったのが、ワイヤーをつけ始めてすぐの段階でまっすぐに並んできたのです。舌で歯の内側をさわったときに、歯がきれいに並んでいることがわかって嬉しかったですね。小さい時からずっとデコボコの歯並びだったのに、ワイヤーをつけるだけでこんなにすぐに動くものなんだという驚きも大きかったです。治療を始めてすぐの時期に歯が動くと、モチベーションがあがりますね。

それとアンカースクリューで前歯を下げ始めたくらいの時期から、それまで歯並びの影響で下唇が閉じづらかったのが自然に閉じられるようになってきて、見た目についても変わってきました。また、以前は無意識のうちに左の歯のほうばかりで噛んでいたのですが、歯並びが改善したことで、歯全体で噛めるようになりました。上下の歯が噛み合わない時期は、肩こりがあったり、あくびした時に顎がはずれたりのトラブルがあったのですが、治療が終わってからはまったくなし! これまで不自由に思ってきたことが、矯正治療ですべて解決したような感じです。

●ご家族の反応はいかがでしたか。

息子がいるのですが、矯正期間中は子どもと違うメニューにすることもあったので、そのたびに「大変だね〜」と声をかけてくれました。治療が終わった時は、「すごくきれいになったね」と言ってくれましたよ。思春期なのでクールな言い方でしたけど(笑)、嬉しかったです。

●OPひるま歯科 矯正歯科で治療して、どんなところが良かったですか。

説明がとてもていねいで、お口の中の健康についてもくわしく教えていただいたことがいちばん良かったです。歯医者さんは「待たされる」というイメージがあったのですが、OPひるま歯科 矯正歯科の予約システムはすごく徹底されていて、予約の時間どおりに治療してもらえるのはもちろん、治療の前日に確認メールをいただいたり、きめ細やかな対応もよかったと思います。治療期間中、痛みが出たなど突然のトラブルがあったりもしたのですが、電話するとその日のうちに対応していただけたので、とても助かりました。

●矯正治療を検討している人へのメッセージをお願いします。

「矯正治療は若い時にしないと後が大変」と思う方が多いと聞きますが、25歳ぐらいの時に、歯医者さんで「大人になってからでも矯正治療は間に合いますか?」と聞いたら、「大丈夫、間に合いますよ」と言われました。私自身、30歳を過ぎてから実際に治療してみて「すごく大変」ということはなかったですし、仕事をしながら自分の時間をうまく使って治療ができたので、よかったと思います。ただ、私も歯茎の状態がよくなかったので、年齢を重ねるとそういう問題も多いのかもしれません。大人になってからでも矯正治療はできると思いますが、そのほかの問題も起こってくることを考えると、早いうちに専門の先生にしっかり診てもらうことが、良い結果につながると思います。

成人の叢生を伴う上顎前突症例
診断名:上突咬合 叢生歯列弓 下後退顎

今回は、幼少期より歯並びの異常を気にされていたものの治療する機会に恵まれず、成人になって矯正治療を開始したFさんの症例について解説します。

■初診時

現症および主訴

Fさんは幼少の頃から前歯が突出していた事、成人になってからさらに歯がみがきにくくなってきている事を気にされて当院の矯正歯科を受診されました。

顔貌所見

正貌において顔貌の顕著な左右非対称性は認めませんでした。側貌において口唇の顕著な突出感を認め、オトガイ部の後退感は強く口唇閉鎖時にオトガイ部軟組織の緊張感を認めました。

口腔内所見

上下顎前歯の前後的なズレを現すオーバージェットが大きく約6mm、前歯部の叢生を認めました。一般歯科的問題点として、小臼歯から大臼歯にかけて金属の修復物であるインレーが装着されており、全顎的な歯肉の腫脹と発赤を認めました。

X線写真所見

セファロ(頭部X線写真線規格写真)において上下顎骨の前後的ズレを示すANBは+7°、下顎骨の下方への回転を示すFMAは33°を示し、下顎後退型の骨格的な上顎前突の傾向を認めました。また上顎前歯は唇側に傾斜し、上唇が短く下唇が引き上げられながら口唇が閉鎖している事を確認出来ました。パノラマX線写真において上下顎左右第3大臼歯(8番:親知らず)が存在していることが確認出来ました。デンタルX線写真では歯槽骨の軽度吸収を認めました。

唾液検査・歯周組織検査

唾液検査では、唾液の分泌量は5mlでやや少なく、緩衝能は低く、みがき残しが多いこと、フッ素が使用されていないことでむし歯のリスクは高い傾向を認めました。歯周病のリスクも高く、4mm以上の歯周ポケットは1.8%で第2大臼歯(7番)の奥側(遠心)にのみでしたが、全顎的に歯肉からの出血(歯肉炎)を認めBOPは66%に認めました。

■治療方針

MTMの診療プロセスに則り、初期治療により歯のみがき残し、歯肉炎の改善を行ない、その後、矯正治療を開始する事ととしました。その結果、PCRは15.2%に減少し、4mm以上の歯周ポケットは0%になり、BOPも10.1%になりました。

矯正治療の方針としては、上下顎骨のズレが大きく上顎前歯を最大限に後退させる必要があると考え、抜歯部位を上顎左右4番、下顎左右5番、上顎大臼歯の加強固定としてアンカースクリューを使用する方針としました。上顎の親知らず(8番)は動的治療開始後に抜歯する事としました。

■動的療開始時

上下顎に唇側から矯正装置を装着しました。

アンカースクリュー使用時

■ 動的治療終了時

顔貌・口腔内所見

側貌における口唇の突出感および口唇閉鎖時の緊張感は軽減しました。
口腔内所見において上下顎前歯の前後的なズレおよび叢生は改善され、臼歯関係もアングルI級で安定しました。

X線写真所見

動的治療後の評価では、パノラマX線写真において歯根平行性にあきらかな問題は認められませんでした。前歯部の根尖では歯根吸収による根尖の平坦化を認めました。下顎の親知らずは抜歯せずに動的治療を終了しました。セファロX線写真において上下顎前歯の後退による口唇の後退を認めました。上顎大臼歯の圧下による下顎骨の上方回転を認めました。

■ 動的治療前後の比較

■う蝕(むし歯)と歯周病のトータルリスク比較

う蝕のリスク評価としてカリオグラムを行っています。カリオグラムは、歯科先進国スウェーデンのスウェーデン王立マルメ大学う蝕予防学教室のグンネル・ペターソン博士によって開発され、その予後の妥当性について多くの論文で評価されて信頼度の高いう蝕リスク診断プログラムです。

歯周病のリスク評価としてOHISを使用しています。OHISは歯科先進国アメリカのワシントン大学歯学部教授ロイ・C・ページ先生を中心とした歯周病専門医のグループによって開発されて歯周病のリスク診断プログラムです。

う蝕のリスク比較

う蝕のリスクは初診時「13」→動的治療終了時「5」とリスクが減少しました。また、カリオグラムによる1年以内にう蝕を避ける可能性は初診時「20%」→動的治療終了時「85%」と上昇(う蝕になるリスクは減少)しました。う蝕のリスクが大きく低下した理由として、ブラッシングの上達都歯のみがきやすい環境に変わった事でみがき残しが減少した事、家庭でのフッ素使用が定着した事、う蝕の原因菌(SM菌、LB菌)が減少した事が考えられました。

初診時カリオグラム

動的治療終了時カリオグラム

カリオグラムによる「う蝕を避ける可能性」の変化

*「う蝕を避ける可能性」は上昇しう蝕のリスクは減少している

歯周病のリスク比較

歯周病のリスクは初診時「9」→動的治療終了時「2」に変化し減少しましたが、OHISでは病状が初診時「5」→動的治療終了時「6」、リスクが初診時「3」→動的治療終了時「2」に減少しました。これは、歯肉からの出血、歯周ポケットが初診時より改善した事によるものと考えられました。

OHISでのリスク変化

PCR、BOP、4mm以上のポケットの比較

  •  PCR(むし歯と歯周病の原因菌の付着を示す歯の磨き残し)
  •  BOP(歯周病の原因菌による炎症を示す歯肉からの出血)
  • 4mm以上の歯周ポケット(歯周ポケットが4mm以上になると歯周病の原因菌による歯槽骨の破壊)

5分間刺激唾液分泌量の比較

■考察

Fさんの症例は、上顎前歯が唇側に傾斜する事で上唇ではなく下唇の突出感に影響を与えていました。従って上顎前歯を後退した事で上唇よりも下唇の後退量が大きくなりました。アンカースクリューを使用する際に上顎歯列をやや上方に牽引するようにしたため、上顎歯列は圧下され下顎骨は上方に回転した事で下顔面骨格は短くなり口唇閉鎖時の緊張感も緩和されオトガイ部も明瞭になったと考えられました。

また、本症例の治療開始時期は本来であれば永久歯の萌出が完了し、上下顎骨の成長が安定した12〜15歳頃に矯正治療を行う事が理想的な症例でした。成人になってからでも叢生、上下顎前歯が後退して口唇の突出感や緊張感の改善は可能ですが、治療を開始するまでの期間に歯周病の進行を認め、軽度の歯槽骨吸収も起きてしまいました。その結果、矯正治療後にわずかな歯肉退縮を認めました。一方で、初期治療により、う蝕や歯周病のリスクを下げずに矯正治療を開始した場合には装置装着とともに歯がみがきにくくなり口腔衛生状態はさらに低下し、細菌の活動性は高まり、う蝕や歯周病が進行する可能性も十分に考えられ、MTMに則った治療プロセスの必要性を再確認できました。

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