HOME >  医院案内 >  インタビュー[患者さん編] >  インタビュー40/Yさん「下顎右側2番欠損 上突咬合 上突歯列 叢生歯列弓」

インタビュー40/Yさん「下顎右側2番欠損 上突咬合 上突歯列 叢生歯列弓」

BACK

きちんと噛み合っていなかった上下の歯 矯正治療で正しい噛み合わせに!

矯正治療を始めようと思ったきっかけを教えてください。

生まれつき右下の前歯が1本足りず、小学校の学校健診の時に指摘されていました。乳歯が永久歯に生え変わる時期になると、少しずつ前歯全体が前の方に出てきている感じがしたのです。私自身はあまり気にしていなかったのですが、「前歯が出てきたのは歯がもともと1本足りないことが原因なのでは…」と心配した母から、高校生の頃に矯正治療を勧められました。でもその時は、大学受験も控えていたのでなかなかふんぎりがつかず、治療を始めませんでした。受験が一段落し大学生活にも慣れた大学2年の頃、再び母から治療を勧められました。母がこんなに勧めるのだから治療をしたほうがいいのかなと思い、治療を受けようと決めました。

OPひるま歯科 矯正歯科で矯正治療を受けることにしたのはなぜですか。

母と同じ職場の方がOPひるま歯科 矯正歯科で矯正治療を受けていて、その方が「すごくいい先生ですよ」と紹介してくださったんです。それで他の医院は考えずOPひるま歯科 矯正歯科に初診相談に行くことにしました。母と一緒に足を運んだのですが、スタッフの皆さんも親切で、なにより晝間先生が丁寧に説明をしてくださったので安心しました。

治療については、カウンセリングで歯や歯並びの状態などを調べ、2つの治療法を提案していただきました。ひとつは上下4本の歯を抜歯してからワイヤーをつける方法、もうひとつは、下の歯がもともと1本足りないので3本の歯を抜歯してからワイヤーをつける方法です。それぞれの方法のメリットとデメリットをくわしく説明していただいたので、母ともじっくり相談して、一本でも多く歯を残したかったのと、晝間先生が「3本を抜歯する治療法は上下の歯のセンターが揃うのでおすすめです」と言ってくださったので、3本抜歯による治療を受けることに決めました。

ワイヤーを装着したときはいかがでしたか。

やはり、すごく違和感がありましたね。もともと前歯が出ていたこともありますが、ワイヤーをつけたことでさらに前に出た感じがして口が閉じづらかったです。ワイヤーによる締めつけ自体の痛みは、ある時とない時があったので、つらさはさほど感じなかったのですが、それよりつらかったのが、口内炎です。歯肉にワイヤーや矯正装置があたり、ワイヤーをかけたところ全体に一本の線のように口内炎ができてしまって……。月1回通院し、ワイヤーを調整してもらうのですが、必ずその2週間後くらいに口内炎ができました。治療のときに晝間先生に話して口内炎の薬をもらおうといつも思っていたのですが、通院するころには痛みがひいていて薬をもらうことをすっかり忘れてしまう(笑)…そしてまた2週間後くらいに口内炎ができる…この繰り返しでしたね。

口内炎の痛みはどのように乗り切りましたか。

痛い時は、水を飲んだだけでもしみるんです。その間は食事もしにくかったのですが、我慢して食べていると慣れてくるものですね。痛みがだんだん日常的になってきたので、開き直ってあまり気にしないようにしたら、いろいろ食べられるようになりました。

口内炎にならなくなったのは、治療の後半、前歯をワイヤーで下げ始めたころからです。ワイヤーが口にあたる感じが少しずつ弱くなっていって、「最近、口内炎にならなくなってきたなあ」と思うようになり、気がついたら口内炎にならなくなっていました。口内炎の痛みには約2年間悩まされましたが、今となっては良い思い出です。

治療期間が40ヵ月と長かったのですね。

当初の予定では30ヵ月と言われていましたが、歯を動かす微調整に時間が費やされ、結果的に40ヵ月かかりました。治療の後半で、晝間先生から顎間ゴムをつけるよう言われたのですが、面倒くさくて少しさぼったら、歯の動きが少しにぶくなってしまいました。そんなことも影響したのかもしれません。私自身は、晝間先生が毎回治療のたびに現状や今後の予定などについてくわしく説明してくださっていたので、30ヵ月を過ぎてもまだ終わらないということは理解できていました。治療を始めた時点で、晝間先生にすべて委ねようと思っていたし、いつもきちんと説明があったので、「いつ終わるのだろう」といった不安や心配になったことはありませんでした。「治療期間がのびている分、しっかり治してくださっているのだろうな」と、のんびり構えていました。

前歯が下がってきたことを実感したのはいつ頃ですか。

治療開始後2年くらいたったころだと思います。前歯を下げるためにループ状のワイヤーを装着するようになってから、前歯全体がすごく下がってきた実感がありました。まわりの友だちでも矯正治療を経験している子が結構いて、その子たちから「すごく下がってきたね」と言ってもらえて嬉しかったです。「どこの医院で矯正したの?」など、私が治療しているのを見て矯正治療に興味をもつ友だちもいて、反響が大きかったですね。

私が矯正治療を受けていちばん変わったと思うのは、横顔なんです。以前は鏡で斜め後ろから見ても口元が見えていたのですが、矯正治療を受けてから同じように鏡で見ても口元が見えなくなったのが驚きでした。母もとても喜んでくれたので治療をして本当に良かったなと思いました。

噛み合わせについてはいかがでしたか。

実は初診の時、「きちんと噛み合っているところがひとつもない」と言われたのです。それまで食事の時に食べづらいということがなかったので、とても驚きました。でも、矯正治療が進んでいくと、噛み合う歯が少しずつずれていくのがよくわかりました。治療終了後の歯型の模型を見せてもらったら、上下の歯がしっかり噛み合っていたので、やはり治療前はきちんと噛み合っていなかったんだ、治療をして正しい噛み合わせになったんだと改めて思いました。それから、矯正治療前は偏頭痛持ちだったのですが、治療後にはよくなりました。もしかしたら噛み合わせの悪さが原因だったのかもしれないと思っています。

OPひるま歯科 矯正歯科で治療をしてよかったですか。

前歯がさがり歯並びがきれいになったのももちろんですが、ひとつひとつの治療や説明がていねいで治療中不安になったりしなかったのがOPひるま歯科 矯正歯科で治療してよかったと思える点だと思っています。また、歯のメンテナンスの大切さを教えてくれるのが、自分にとって大きかったですね。初期診断で歯肉炎が進んでいることがわかりました。これまでむし歯がなかったので歯科医院に通ったことがあまりなかったのですが、自分の口の中の状態を知る良い機会になりました。通院するたび歯科衛生士さんが歯みがきの仕方をしっかり教えてくれ、その通りに行うと、染め出しなどで効果がはっきり出るのでモチベーションをたもつことができました。うまくみがけないところは歯間ブラシを変えたり、ブラシの動かし方を教えてくれたりなど、ひとつひとつのアドバイスが本当に役に立ちました。OPひるま歯科 矯正歯科に通う前は、1回の歯みがき時間は3分くらいでしたが、今では毎日10分以上行い、フロスや歯間ブラシを併用しながら念入りにみがいています。高校生くらいの時、口臭も少し気になっていたのですが、歯みがきをしっかりするようになったら、まったく気にならなくなりました。これからも地道にメンテナンスを続けてきれいな歯を保っていきたいと思います。

下顎前歯の先天欠如をともなう上顎前突症例
診断名:下顎右側2番欠損 上突咬合 上突歯列 叢生歯列弓

今回は、下顎右側2番を先天的に欠如し叢生と上顎前突を呈している症例について解説します。

■初診時 現症および主訴

お母様のご友人が当院に通院されておりご紹介により21歳で来院されました。 乳歯のときから下顎前歯部に癒合歯があり永久歯に生え変わったら歯の本数が少なかった(下顎右側2番が欠損していた)との事でした。主訴は、前歯部の突出感および叢生の改善でした。

顔貌所見

正貌において顔貌の顕著な左右非対称性は認めませんでしたが口唇の翻転により下唇赤唇部が厚く見えました。側貌において口唇閉鎖時の口腔周囲軟組織の緊張感は顕著で前突感も認めました。

口腔内所見

臼歯関係はアングルの分類においてクラスIで臼歯部の前後的な位置関係に大きなズレはありませんでした。上下顎前歯部に叢生を認め、下顎は右側2番が欠損している事で上顎前歯と下顎前歯の前後的なズレ(オーバージェット)が8.5mmありました。

初診時X線写真所見

セファロ(頭部X線写真線規格写真)において上下顎骨の前後的ズレを示すANBは+9°を示し、骨格的な上顎前突の傾向を認めました。パノラマX線写真においてあきらかな歯根の湾曲や短根などは認められませんでした。上顎右側、下顎左右側に親知らずを認めました。

初診時唾液検査・歯周組織検査

唾液検査では、唾液の分泌量が少なく、緩衝能が低い特徴がありむし歯のリスクは高い傾向を認めました。歯周病のリスクは低く、部分的に歯肉からの出血(歯肉炎)を認める程度でした。

■治療方針

治療方針として、親知らずの抜歯に加えて
方針(1):上顎左右4番、下顎左側4番(抜歯本数3本)と
方針(2):上顎左右4番、下顎左右4番(抜歯本数4 本)の
2方針を提案しました。

方針(1)では下顎の右側抜歯部位を先天欠如している2番としたので上顎右側4番抜歯に対し下顎右側の抜歯スペースが少なくなり矯正治療後の噛み合わせにおいて上下顎前歯の重なりが小さくなる事が予測されました。そのため方針(2)を提案し抜歯本数は多くなるものの噛み合わせを深くする方針を提案しました。診断時に予測模型を提示しYさんと相談のうえ、方針(1)で矯正治療を行う事としました。

■動的治療開始時

初期治療により口腔衛生状態が改善してから上顎左右4番、下顎左側4番を抜歯して矯正治療を開始しました。噛み合わせが深く下顎に装置をつけられないため上顎から装置を装着しました。

■動的治療終了時

顔貌・口腔内所見

動的治療後の評価では、抜歯スペースにより叢生の改善、上顎前歯の後退を行いました。

X線写真所見

動的治療後の評価では、パノラマX線写真において歯根平行性、歯根吸収にあきらかな問題は認められませんでした。セファロX線写真において上顎前歯の後退により上下口唇の後退を確認できました。下顎は抜歯が左側4番のみなので下顎前歯の後退はわずかとなりました。

動的治療前後の比較





■う蝕(むし歯)と歯周病のトータルリスク比較

う蝕のリスク評価としてカリオグラムを行っています。カリオグラムは、歯科先進国スウェーデンのスウェーデン王立マルメ大学う蝕予防学教室のグンネル・ペターソン博士によって開発され、その予後の妥当性について多くの論文で評価されて信頼度の高いう蝕リスク診断プログラムです。

歯周病のリスク評価としてOHISを使用しています。OHISは歯科先進国アメリカのワシントン大学歯学部教授ロイ・C・ページ先生を中心とした歯周病専門医のグループによって開発されて歯周病のリスク診断プログラムです。

う蝕のリスク比較

う蝕のリスクは初診時「12」→動的治療終了時「11」と大きなリスクの減少はなく、中程度のリスクのままとなりました。また、カリオグラムによる1年以内にう蝕を避ける可能性は初診時「13%」→動的治療終了時「41%」とわずかに上昇(う蝕になるリスクは減少)しました。う蝕のリスクが大きく低下しなかった理由として5分間の唾液分泌量が矯正治療前後で2mlと少ないまま変化しなかった事、唾液の緩衝能(酸性に傾いた口腔内を中性に戻す力)が低い事が原因と思われました。しかし、むし歯の原因菌が検出されなかった事でこれまでむし歯になった歯はなく、矯正治療中に新たなむし歯の発生もありませんでした。

初診時カリオグラム

動的治療終了時カリオグラム

カリオグラムによる「う蝕を避ける可能性」の変化

*「う蝕を避ける可能性」は上昇しう蝕のリスクは減少している

歯周病のリスク比較

歯周病のリスクは初診時「6」→動的治療終了時「3」に変化し減少しましたが、OHISでは病状が初診時「3」→動的治療終了時「5」、リスクが初診時「1」→動的治療終了時「2」に上昇しました。これは、歯肉からの出血等は初診時より改善したものの、親知らずの萌出により下顎左右7番の遠心ポケットが深くなった事が原因と思われます。

OHISでのリスク変化

PCR、BOP、4mm以上のポケットの比較

●PCR(むし歯と歯周病の原因菌の付着を示す歯の磨き残し)
●BOP(歯周病の原因菌による炎症を示す歯肉からの出血)
●4mm以上の歯周ポケット(歯周ポケットが4mm以上になると歯周病の原因菌による歯槽骨の破壊)

5分間刺激唾液分泌量の比較

■考察

本症例は下顎右側2番の先天欠如がなければ上下顎前歯部に叢生を伴う両突歯列(上下顎前突)の症例であったと思われます。その場合の理想的な抜歯部位は上下顎左右4番ですが右側の2番が先天欠如であったために右側の抜歯は行わずに矯正治療を行いました。下顎右側4番(近遠心径8mm)抜歯の場合と2番(近遠心径6mm)抜歯で抜歯スペースを比較すると約2mmの差があり、この差により上顎前歯に対して下顎前歯は後退できず歯の重なりが少なくなると予想しました。実際の仕上がりでは右側の臼歯関係を軽度のII級に仕上げる事で許容範囲の前歯の重なりで安定した咬合を得る事が出来ました。抜歯本数が少なく抜歯スペースが少ない事で微調整が難しく治療期間が40ヵ月かかってしまった事が反省ですが治療結果は良好であったと考えます。

予測模型による2方針の比較

本症例は唾液分泌量が少なくむし歯のリスクが高いもののむし歯はなく、矯正治療後も新たなむし歯をつくる事はありませんでした。これは幼児期にむし歯の原因菌に感染しなかった事が大きな要因と思われます。しかし、むし歯の原因菌がまったくいないわけではない事、歯の磨き残しが増えると別のむし歯の原因菌が増える事、加齢により歯周病が進行すると酸に弱い歯根が露出する事でむし歯になりやすくなる事、加齢に伴いさらに唾液が減少する可能性がある事などから、現在のむし歯のない状態を維持するためには加齢に備えてメインテナンスを継続していく必要がある事を伝え、リテーナーの管理とメインテナンスを行い歯並びと噛み合わせをさらに安定させるようにしています。

BACK