| 上顎前突(出っ歯)にせよ下顎前突(受け口)にせよ、その診断名に明確な定義はなく、診断名から外科矯正にするかどうかの明確な基準などは、元々ないといえます。上下顎前突の定義はもっと曖昧で、まして、その診断名をもって治療方針が決まることは考えられません。 一言で上下顎前突といっても、土台である顎の関係が出っ歯系のもの、受け口系のもの、あるいは中立系のものから、歯だけが上下とも強く前傾しているもの、歯や顎は問題なく横顔の口元が突出したものなど、どれも上下顎前突という診断ながら対応は様々です。 基本的に、純粋な上下顎前突で外科手術という方針は珍しいのですが、まるこさんは具体的に何を(どこを)もっとも改善したくて外科手術を望むでしょうか。まるこさんの文章からは矯正的詳細がつかみにくいのですが、本来が、口元が突出した(上下顎前突様顔貌の)骨格性の上顎前突だとすれば、外科手術の適応である可能性はあります。そこに明確な基準はありませんが、どちらの治療方針でもそれなりの改善が得られるとしても、より望ましい側貌(口元)を得るために外科手術が適していると思われれば、話し合いのうえで矯正医は外科矯正に方針を変えることは十分あり得ます。 本来外科手術の適応であるものを、歯牙移動のみの矯正で行なおうとすると、治療期間やその結果に悔いを残すこともあり得ますので、改めて矯正医に希望を伝え再考してもらうか、外科症例の多い矯正医や審美面を重視する矯正医に、改めて相談してから方針を決めてはいかがでしょうか。
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