HOME >  医院案内 >  症例紹介 >  症例紹介8/Oさん「成人矯正、叢生を伴う上下顎前突症」

症例紹介8/Oさん「成人矯正、叢生を伴う上下顎前突症」

BACK

Oさん「顎関節症も治り、いいことばっかりです」

初診時の診断:「成人矯正、叢生を伴う上下顎前突症」

他院での矯正治療後に再矯正治療をおこなった成人(初診時41歳)の症例です。上顎右側側切歯のみの抜歯により治療がおこなわれた結果、上顎歯列の正中は右側にずれ、噛み合せは左右非対称で不安定な状態でした。また、歯軋りも気にされておりこれらの改善を目的として当院での矯正治療を希望されました。

現症

顔貌所見

口唇閉鎖時の側面顔貌において、力を入れないと唇を閉じられずオトガイ部軟組織にしわがよる口唇閉鎖時の緊張感を認めます。また、Elineに対して下唇が超え上唇が接する軽度の突出感も認めます。

※以下より画像をクリックすると大きい画像が見れます。

Eline

正面顔貌において上顎歯列の正中が顔貌正中に対して右側に偏位しています。

口腔内所見

上顎咬合面
 
上顎右側側切歯(2番)が抜歯されているため
上顎中切歯が右側に偏位しています

下顎咬合面
 

下顎は抜歯されていないため前歯部に
叢生(歯並びのデコボコ)を認めます


正面
 
上顎正中は右側に偏位し右側側方歯の咬合が不安定になっています


右側面
 
臼歯関係は2番抜歯により上顎右側大臼歯が近心に移動したために2級関係になっています

右側臼歯部の拡大画像
 


左側面
 
臼歯関係は1級で比較的良好な前後関係です

左側面拡大画像
 

全体的に過去のむし歯治療の結果として金属やプラスチックの修復物が多く認めます。しかし、歯の磨き残しは少なく、う蝕の原因菌も少なく歯周病の進行などは認めず口腔衛生状態は比較的良好でした。

【既往歴】

顎関節症の既往があり、中学生の頃に顎が開かなくなることがあったそうです。

治療方針

基本的な方針としては、噛み合せを安定させるために上下の歯数を一致させ、上下歯列の正中を可能な限り一致させ、臼歯関係を左右ともに1級関係にする必要があります。また、上下歯列が唇側に傾斜していることで口唇閉鎖時の緊張感や口腔周囲軟組織の緊張感を認めるので上下顎前歯の後退が必要になります。そこで抜歯により顎骨内にスペースを確保し歯を移動することにしました。
歯軋りは噛み合せが直接の原因でないことから、矯正治療により噛み合せを改善しても歯軋りは改善しない可能性があります。しかし、初診時のような不安定な噛み合せで歯軋りをすることは歯や歯周組織、顎関節に対して様々な悪影響が懸念されることから噛み合せを改善し歯軋りが気にならなくなれば良いと説明しました。

【抜歯部位】

上顎右側は8番を抜歯して近心に傾斜している7番6番を遠心移動、上顎左側は4番を抜歯して上顎歯列正中を左側に移動して左右の対称性を改善、下顎左側は4番、下顎右側は5番を抜歯して前歯部の叢生を改善しながら後退させる方針としました。下顎の抜歯部位を左右非対称にしたのは右側の臼歯関係が2級の ため下顎大臼歯を積極的に近心移動させ臼歯関係を1級に改善するための判断です。
動的治療期間は30か月を予定しましたが、治療開始時年齢が高い成人症例であるため治療期間が長くなる可能性が高いことを説明し治療開始しました。
また、注意点として顎間ゴムを使えない場合にはインプラントアンカーが必要になること、顎関節症の既往があることから治療中に顎関節症が発症する場合があること等を説明しました。

動的治療開始時口腔内写真

治療結果

顔貌所見

上下顎前歯が後退したことにより口唇の突出感や緊張感は改善されました。また上顎歯列正中は左側に移動し顔貌の正中と一致することができました。

Eline

【口腔内所見(術前後の比較)】

上下歯列の正中が一致し左右の対称性が高い噛み合せになりました。最後方臼歯まできちんと咬合できるようにコントロールしたことで噛み合せは安定しています。噛み合せが安定したことで歯軋りも気にならなくなってきたとのことでした。
治療期間中に診療室においてむし歯や歯周病予防のための、毎回の調整時にPMTC、スケーリング、フッ素洗口をおこなったことでむし歯や歯周病の進行は認めませんでした。

【動的治療期間】

動的治療期間は27か月で予定の期間よりも短い期間で終了することができました。これは、Oさんが通院中1回のキャンセルもなく、毎回の治療に遅刻することなく来院されたことで、常に最大限の治療をおこなうことが可能だったことで治療が遅滞なく進んだこと、顎間ゴムの協力も良く指示に協力的であったこと、40代で歯が動きにくい年齢にありながら口腔衛生状態が良好に保たれており生体組織は細胞の活性が高く「若い」状態であったことが要因ではないかと考えられました。

【保定期間】

現在は保定期間中でリテーナーを使ってもらいながら、さらに咬合が安定するように調整しています。修復物の不適合や審美性の問題がありますので修復物の再製もおこなっています。

考察

人間の体は基本的に各器官が体の中心線を基準として左右対称に配置されることで最大限の機能は発揮され、美しくなるように構成されています。矯正歯科治療は歯列や噛み合せを新しく作り出していく治療であるために、術者の考えによって様々な形にも作れますが、人間の器官としての基本を無視して作り出された咬合は様々な機能的な不具合が発生したり美しさが失われます。したがって、矯正歯科医は体の基本的な構成に充分な配慮をして治療をおこなわなければならず、抜歯をして治さなければならない矯正治療の基本は左右対称の抜歯となります。本症例も左右対称の抜歯であればより良い治療結果を生み出せたはずでしたが前医の診断が体の基本に対する配慮が不足したものであったことから様々な不具合が発生したと考えられました。再治療が必要になってしまったことは大変残念でしたが 、Oさんの努力によって最高の結果が出せたと考えます。これからは、むし歯や歯周病の原因である細菌を除去する歯のメインテナンスとリテーナー(保定装置)で歯並びと噛み合せを可能な限り長期に安定させOさんをより健康にすることが私たちの使命と考えています。

上顎咬合面(治療前・治療後)

下顎咬合面(治療前・治療後)

正面(治療前・治療後)

右側面(治療前・治療後)

左側面(治療前・治療後)

右側面最後方臼歯拡大画像(治療前・治療後)

左側面最後方臼歯拡大画像(治療前・治療後)


BACK

永久歯の矯正治療(Ⅱ期)の目安

治療内容
オーダーメイドのワイヤー矯正装置で治療を実施します。(スタンダードエッジワイズ法)
治療に用る主な装置
マルチブラケット装置、症状により歯科矯正用アンカースクリューを用いる場合もあります。
費用(自費診療)
約1,280,400円~1,472,900円(税込)
※検査料、月1回の管理料等を含む総額
通院回数/治療期間
毎月1回/24か月~30か月+保定
副作用・リスク
矯正装置を初めて装着後は、歯を動かす力によって痛みや違和感が出たり、噛み合わせが不安定になることで顎の痛みを感じる場合があります。
歯を動かす際に歯の根が吸収して短くなる、歯ぐきが下がる場合があります。
治療中は歯みがきが難しい部分があるため、お口の中の清掃性が悪くなってむし歯・歯周病のリスクが高くなる場合があります。
歯を動かし終わった後に保定装置(リテーナー)の使用が不十分であった場合、矯正歯科治療前と同じ状態に戻ってしまうことがあります。 ・
長期に安定した歯並び・噛み合わせを創り出すために、やむを得ず健康な歯を抜く場合があります。