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インタビュー24/Hさん「開咬合 両突歯列 叢生歯列」

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アンカースクリューで治療期間が短縮できました

Hさん「開咬合 両突歯列 叢生歯列」

矯正治療を受けようと思ったきっかけを教えてください

母から遺伝したのか、小さいころから歯並びが悪く、上下の歯が放射状に生えていて口が閉じにくい状態でした。小学生くらいのころはそうでもなかったのですが、大きくなればなるほど気になってきてしまって…。高校生くらいの時から、自分の口元をまわりの友達と比べたり、テレビや雑誌を見ていると芸能人の口元に目がいくようになったりして、口を開けたくない、写真を撮られたくないという気持ちが強くなりました。矯正治療を受けてきれいな歯並びになりたいと切実に思い始めたのですが、高校卒業後すぐに社会人になり、仕事が忙しいのに加え休日も不定期で予定が立てにくく、踏み出せないまま20才を過ぎてしまったんです。それが3年くらい前に仕事が変わり、定休日をきちんといただける勤務形態になったので今がチャンス! と、治療に向けて動き始めました。

医院選びはどのようにしましたか

職場が立川だったので、会社帰りに通院できればと思い、市内の矯正歯科を探しました。インターネットで「立川 歯科矯正」で検索してみたら、トップに出てきたのがひるま矯正歯科でした。ホームページを見ると、写真が多く使われ、院内の雰囲気がよくわかりましたし、料金も明確に提示されているなど、得られる情報量がとても多いことが印象に残りました。口の中の写真を撮ってもらって矯正相談を受けられることも知ったので、まずはひるま矯正歯科に足を運ぶことにしました。

実際に訪れてみると、ホームページの印象通り、医院がとてもきれいで雰囲気も良く、先生の対応も親切でていねい。さらに、これまで歯医者さんというのは、“待たされる”というイメージがあったのですが、予約した時間ぴったりに診察を受けることができて驚きでした。すべての印象が良かったので、ひるま矯正歯科にお願いしようと即決しました。

診断の結果はいかがでしたか

あごの骨の中に歯が入りきらずにでこぼこの歯並びになっているので、上下左右4番の歯を抜歯して治療しましょうと言われました。全部の歯があごの骨の中に入りきれていないのは自分でもわかっていたし、抜歯によってきれいな歯並びになれるなら…と、とくに不安はありませんでした。

「前に出ている上下の歯をできるだけ下げたい」と伝えたところ、アンカースクリューを使用して矯正治療を進めることを提案していただきました。アンカースクリューの知識はまったくなかったのですが、レントゲン写真を見せてもらいながら、アンカースクリューをつかって治療するとどのようになるのかをくわしく説明してくださいました。普通の矯正治療では、奥歯を固定源にして前に出ている歯を後ろに下げるため、ワイヤーで引っ張ると奥歯も同時に前方に動いてしまう可能性があるけれど、小さなネジのような装置を奥歯のところに埋め込んで、それを固定源にすると、奥歯も動きにくくなるので、治療期間も短縮できるとのこと。せっかく治療を受けるならとことんまでやろうと思い、お願いすることにしました。

矯正装置は痛かったですか

友達から聞いてもインターネットで調べても「痛い」ということだったので、覚悟はしていたのですが、予想に反して(笑)あまり痛くありませんでした。つけてすぐは痛いのですが、痛くて何も食べられないというほどでもなく…。最初の1~3日くらいはおかゆ、スープ、プリン、ヨーグルトなどやわらかい物にしていましたが、4日目以降は普通に食べていましたね。食べた物がワイヤーにひっかかって困るという話も聞いていましたが、固めのお肉も普通に食べられたし、食事で困ったことはほとんどなかったです。

ただひとつ、ある日タラコスパゲティを食べたのですが、食後に鏡を見たら、ものすごい量のたらこのプチプチがワイヤーについていて…(笑)。歯がほとんどピンク色になってしまっていてびっくりしました(笑)。そのあとの歯磨きが、かなり大変でした(笑)。

アンカースクリューはどうでしたか

治療を始めて半年後くらいにつけてもらいました。麻酔をしてボルトを骨に埋め込むと聞いて、ちょっとドキドキしていたのですが、痛みも、つけた後の異物感のようなものも全くありませんでした。

歯並びが良くなってきた実感はありましたか

私の場合、元の歯並びがかなり悪かったからか(笑)、ワイヤーをつけて2~3ヵ月くらいから、歯がどんどん下がっている実感がありました。鏡を見てもはっきり口元の変化がわかるので、すごくうれしかったです。抜歯したせいか、家族や友達に「顔が小さくなったね」「あごのラインがすっきりしてきたね」とも言われました。アンカースクリューで治療していただいたので、当初2年半くらいと言われていた治療期間が2年ですんだんです。びっくりするくらい順調に矯正治療をすすめていただけて、あっという間にきれいな歯並びになって、うれしいことばかりです。

ひるま矯正歯科で治療してよかったですか

よかったと思います。治療方針もくわしくていねいに説明していただけましたし、わからないことを質問するとこちらが納得するまで教えてくれますし。待たされることも、予約がとりにくいこともなく、治療期間中、不快な気持になったことは一度もありませんでした。

「歯並びが悪いぶんちゃんと磨かなきゃ」という意識はずっとあって、ひるま矯正歯科に通う前から1日3回の歯磨きは習慣づけていたのですが、治療期間中、歯のケアの指導もしていただけたので、意識がますます高まりました。毎回衛生士さんが磨けていないところをチェックしてくれるので、衛生士さんに教えてもらいながら歯ブラシとフロス、フッ素を使ってお手入れするようになりました。矯正できれいになった歯をこれからもずっと保っていきたいと思っています。

矯正治療を考えている人にメッセージをお願いします

矯正歯科探しは、まず最初にネットで検索して調べる人が多いと思います。検索して出てきた医院のホームページを見る時は、院長先生の治療に対する思いや治療方針がくわしく書いてあるかどうか、診療室や待合室の雰囲気がよいかどうか、料金体系がきちんと表示されているかなどをチェックしてみるといいと思います。私の場合、医院選びの1軒目でひるまさんに出会えたのは、とてもラッキーでした。信頼できる医院と出会うためにも、まずはとことん調べてみてください。

初診時の診断:「開咬合 両突歯列 叢生歯列」

今回は、上下の前歯が突出(唇側に傾斜)し乱杭歯(叢生)になりながら開咬を呈ししているHさんのインタビューと症例解説をおこないます。

■ 現症

【主訴】

前歯が突出して口が閉じにくいこと、口元の突出感を気にされて当院を受診されました。

※以下より画像をクリックすると大きい画像が見れます。

顔貌所見

正貌における明らかな非対称性は認められませんでした。口唇閉鎖時の口唇周囲軟組織の突出感および緊張感は顕著に認めました。

初診時 側貌 Eline

初診時 側貌

口腔内所見

臼歯関係はAngle class I(アングルの1級)で上下歯列の前後的なズレは顕著ではないものの、前歯部に叢生と開咬を認めました。上下顎前歯は唇側傾斜し口唇突出の原因となっていました。むし歯の治療をしたことがある歯は上顎左側第1大臼歯(6番)のみでしたが、下顎左側第1、第2大臼歯(6、7番)の咬合面(噛む面)にむし歯になりかけた着色が認められました。親知らずはすでに抜歯されていました。

初診時 上顎

初診時 右側初診時 正面初診時 左側

▲ 下顎左側第1、2大臼歯(6、7番)の
咬合面(噛む面)にむし歯になりかけた着色が認められた
▲下顎左側第1、2大臼歯(6、7番)の
咬合面(噛む面)にむし歯になりかけた着色が認められた

X線写真所見

パノラマX線写真

頭部X線規格写真(セファロ)により、上顎骨に対して下顎骨が後方に位置していること、下顔面骨格に対して下顔面軟組織が短く長さが不足していること、上下顎前歯の唇側傾斜により口唇突出していることが分かりました。デンタルX線写真により大臼歯のむし歯はエナメル質表面で進行が停止していると判断されました。

デンタルX線写真においても下顎左側第1、2大臼歯(6、7番)の咬合面(噛む面)にむし歯を示す黒い影はみとめられなかった。

▲ デンタルX線写真においても下顎左側第1、2大臼歯(6、7番)の咬合面(噛む面)にむし歯を示す黒い影はみとめられなかった。

唾液検査・歯周組織検査

唾液検査では、むし歯の原因菌であるミュータンス菌やラクトバチラス菌はほとんど検出されず唾液の分泌量も比較的多いので、むし歯のリスクは低くむし歯の予防は充分に可能であると思われました。歯周組織検査において局所的に歯肉からの出血があることがわかりました。特に歯と歯の間にプラークが蓄積していること、歯の裏側から出血していることがわかりました。

特記事項

特記事項はありませんでした。

■治療方針

診断は 開咬合・両突歯列(上下顎前突)・叢生歯列としました。

主訴である口唇の突出感を改善するために、原因である前歯の唇側傾斜を改善する必要があります。そこで、上下顎左右第1小臼歯(4番)を抜歯して前歯を後退させることとしました。また、下顎骨オトガイ部(下顎骨の先端)の発達が弱く下顔面骨格に対して軟組織が短い傾向を認めることから前歯を十分に後退させ下顎骨を回転させ下顔面高を大きくさせないためにアンカースクリューの使用をお勧めしました。

矯正治療開始前に、むし歯と歯周病の予防方法やメインテナンスの重要性を説明し、徹底したPMTC(歯科衛生士による歯面クリーニング)、スケーリングによる歯石除去、フッ素の使用法やブラッシング方法の指導などを中心とした家庭での口腔衛生管理方法の改善のための初期治療をおこない、むし歯と歯周病のリスクが減少したことを確認してから矯正治療を開始することとしました。矯正治療中もリスクが再度上昇するので毎回のワイヤー調整時に上下のワイヤーを外して全顎的に歯肉縁上縁下のバイオフィルムを除去するためのクリーニングによるメインテナンスをおこなうこととしました。

大臼歯咬合面の着色は唾液検査の結果やデンタルX線写真により脱灰の進行が停止したむし歯と判断したため、削って金属やプラスチックで修復せずに歯科医院でのメインテナンスとフッ素の塗布、家庭での適切なブラッシングやフッ素の使用により再石灰化を促すことで予防することとしました。

初期治療開始前
初期治療開始前:正面

初期治療後
初期治療後:正面

初期治療開始前:左側

初期治療後:左側

初期治療開始前:右側

初期治療後:右側

初期治療開始前:上顎

初期治療後:上顎

初期治療開始前:下顎

初期治療後:下顎

■動的治療開始時

初期治療後に再評価をおこない、歯の磨き残しがほとんどなくなり、歯肉からの出血もなくなり、家庭でのフッ素使用も可能となったので、上下顎左右第1小臼歯(4番)の抜歯をおこなってから上下顎に矯正装置を装着して治療を開始しました。

動的治療開始時

動的治療開始時 上顎

動的治療開始時 右側動的治療開始時 下顎動的治療開始時 正面

動的治療開始時 左側

アンカースクリュー使用時

動的治療を開始して前歯と犬歯を後退させるために上下顎臼歯部にアンカースクリューを埋入し、大臼歯の固定を強化しました。

動的治療開始時 上顎

動的治療開始時 右側動的治療開始時 正面動的治療開始時 左側
▲ アンカースクリューを上下左右大臼歯部に埋入した

動的治療開始時 下顎

▼ アンカースクリューは大臼歯と大臼歯の歯根の間に埋入しデンタルX線写真で確認しました
▲ アンカースクリューは大臼歯と大臼歯の歯根の間に埋入し
デンタルX線写真で確認しました

■ 治療結果

動的治療期間および経過

実際にかかった動的治療期間は約24ヵ月、調整回数は27回、平均的な来院間隔は0.9ヵ月でした。無断キャンセルなどはなく歯の移動はスムーズであったこと、アンカースクリューの使用により前歯の後退と犬歯の遠心移動がスムーズに進み予想よりも短い治療期間で動的治療を終えることができました。

顔貌所見

上下顎前歯の後退により口唇の突出感は減少され、側貌においてE-lineの内側に口唇が入る様になりました。口唇閉鎖時の緊張感も減少し自然に口が閉じられる様になりました。

動的治療後 側貌 Eline

動的治療後 顔貌

口腔内所見

上下歯列の抜歯スペースは閉鎖され、前歯は最大限に後退し、叢生と開咬は改善され、上下歯列の正中は一致し、上下の歯がバランスよく噛めるようになりました。 経過観察をしていた大臼歯咬合面の着色はむし歯が進行する傾向を認めませんでした。

動的治療後 上顎

動的治療後 右側動的治療後 正面動的治療後 左側

▲ 下顎左側6、7番のむし歯は動的治療期間中に進行を認めなかった
▲ 下顎左側6、7番のむし歯は
動的治療期間中に進行を認めなかった

X線写真所見

パノラマX線写真所見では、明らかな歯根吸収や歯槽骨吸収などを認めず歯根もほぼ平行に配列されています。デンタルX線写真では下顎左側6、7番にむし歯の進行を示す黒い影は現れませんでした。
セファロX線写真の重ね合わせにより上下顎大臼歯が近心に移動することなく最大限に前歯が後退し上下口唇の突出感が改善し側貌における硬組織と軟組織のバランスが改善していることがわかります。下顎骨の回転により下顔面高が大きくなったりオトガイ部の後退感が強くなるような変化も認められませんでした。

パノラマX線写真
パノラマX線写真

デンタルX線写真
デンタルX線写真
▼経過観察していた下顎左側6、7番にむし歯が進行するような所見は認められなかった。

初診時・動的治療後のセファロ重ね合わせによる比較

初診時・動的治療後のセファロ重ね合わせによる比較

初診時 動的治療後の比較 (初診時 VS 動的治療終了時)

初診時 正面   動的治療後 右側

 初診時 右側   動的治療後 右側

 初診時 右側   動的治療後 右側

 初診時 上顎   動的治療後 上顎

 初診時 下顎   動的治療後 下顎

う蝕のトータルリスク比較

う蝕のトータルリスクは初診時の「9」から動的治療終了時「9」で変化がありませんでした。これは、歯の磨き残しであるPCRやフッ素の使用状況によるリスクは減少したものの、むし歯の原因菌が増加してしまったことによるものと思われます。むし歯の原因菌は様々な要因で変化するので今後も注意深くメインテナンスをおこないむし歯の予防に努める必要があります。

う蝕のトータルリスク比較

歯周病のトータルリスク比較

歯周病のトータルリスクは初診時の「8」から動的治療終了時の「3」に減少しました。初期治療により歯肉炎が改善され、その後の矯正治療期間中も定期的に歯肉炎の原因である歯と歯肉の間のクリーニングやHさん自身がご自宅で丁寧な歯磨きをしていただいたことでリスクが減少しました。しかし、歯肉からの出血を4.2%の歯に認めましたのでリテーナーの管理と合わせてメインテナンスをして改善し歯周病のリスクを減少させ予防していきます。

歯周病のトータルリスク比較

PCR、BOP、4mm以上の歯周ポケットの比較(%)

PCR、BOP、4mm以上の歯周ポケットの比較(%)
PCR(むし歯と歯周病の原因菌の付着を示す歯の磨き残し)、
BOP(歯周病の原因菌による炎症を示す歯肉からの出血)、
4mm以上の歯周ポケット(歯周ポケットが4mm以上になると
歯周病の原因菌による歯槽骨の破壊)の初診時・初期治療後の再評価時・動的治療終了時

■ 考察

本症例は、前回のインタビュー23で解説させていただいたEさんと同じ診断である「開咬・両突歯列・叢生歯列」の症例ですが、Hさんのご希望にあわせて口唇の突出感を可能な限り改善するためにアンカースクリューを使用して治療をおこないました。この結果、前歯の後退の際に大臼歯が近心(前方)に移動することなく前歯を最大限に後退させることができました。また、下顎骨が後下方に回転せずに下顔面高が長くなったりオトガイ部の後退感が強くなるような変化もありませんでした。矯正歯科治療により歯並びと噛み合わせだけでなく顔貌の改善も最大限におこなえた症例と考えています。

前回の症例とセファロの重ね合わせを比較すると今回の症例では大臼歯の近心移動がほとんど起きていないことがわかります。これはアンカースクリューの効果によるものと思われます。しかし、すべての症例でアンカースクリューを使用しなければならない訳ではなく従来であればヘッドギアを使用してこのような効果を期待していました。しかしヘッドギアは装着時の見た目や煩わしさにより本来であれば1日に20時間くらいつける必要があるものの実際には患者さんの協力を十分に得られず使用時間が短く効果が現れない症例が多くありました。そこで、患者さんの協力に頼らず24時間使えるアンカースクリューにより大臼歯の固定を強固にすることが可能となったのです。しかし、すべての症例にアンカースクリューを使う必要はなくその使用には症例に合わせて選択する必要があります。

矯正治療開始前の検査で下顎左側6、7番に初期のむし歯が見つかりました。従来の歯科治療では、「早期発見・早期治療」の考え方に基づき着色している部分を削り金属や樹脂で埋める治療がおこなわれます。しかし、歯科先進国のカリオロジー(むし歯学)に基づいて、う蝕は歯が溶ける脱灰と溶けた歯にミネラルが戻る再石灰化の流動的なバランスが脱灰に傾くことで進行する疾患であること、脱灰に傾くリスクを唾液検査により評価し、初期治療によりリスクを減少させメインテナンスや家庭でのブラッシング・フッ素の使用によりリスクが上昇しない様にコントロールすることでむし歯の進行を防ぐことができました。今後もむし歯のリスクは常に変化するため定期的なメインテナンスによりむし歯を予防しきれいになった歯並びを長期にわたり維持していきます。

今回の症例

アンカースクリューを利用したことで大臼歯の近心(前方移動)が抑制され前歯が最大限に後退している

アンカースクリューを利用したことで大臼歯の近心(前方移動)が抑制され前歯が最大限に後退している。

前回の症例(インタビュー23)

アンカースクリューを利用していない場合の通常の矯正治療に認められる大臼歯の近心移動

アンカースクリューを利用していない場合の通常の矯正治療に認められる大臼歯の近心移動。

ヘッドギアの動画


ヘッドギアを装着し頭部を
固定源として上顎前歯を後退させている
アンカースクリューの動画


アンカースクリューを大臼歯部に埋入して、
アンカースクリューを固定源として
上顎前歯を後退させている


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