HOME >  医院案内 >  当院の診療理念・治療方針 >  当院のデータから見るメインテナンスの有効性[成人]

当院のデータから見るメインテナンスの有効性[成人]

今回は、当院のメインテナンスデータについて評価、解説します。

OPひるま歯科 矯正歯科ではアクセルソン先生の研究と同様に年齢によりグループ分けし、初検査時、再評価時、メインテナンス時の最新データについて比較分析を行っています。

分析の確かさについて

当院のデータを当院のスタッフが分析しているため、当院のメインテナンスが効果があるだろうという意識が働いている可能性が高い分析方法となります。本来であれば利害関係のない研究者が当院のデータということを知らず分析する必要があります。また、統計処理による有意差の検証も行っていないので科学的に差があるとは言えない分析方法となります。

OPひるま歯科 矯正歯科の成人メインテナンスデータ

対象者

初診時年齢20歳以上で2年以上の中断のない成人メインテナンス中の患者さん602人を対象としアクセルソン先生の研究と同様に以下の年齢によりグループ分けし比較しました。

20-35歳 332人
36-50歳 189人
51-89歳 81人

研究方法

歯の磨き残し(PCR)、歯肉からの出血(BOP)、4mm以上の歯周ポケットの深さ(PPD)、歯の喪失本数、抜歯理由のデータを比較しました。

観察研究

エビデンスレベルの高いケースコントロールスタディーのように、研究群としてメインテナンスを行っている群、コントロール群としてメインテナンスをしていない群を設定して同じタイミングで検査を行い比較することが理想ですが、当院にメインテナンスで実際に来院している患者さんだけのデータとなるのでコントロール群がない観察研究となります。

後ろ向き研究

2020年を基準として来院している患者さんのデータを振り返りながら分析しました。したがってメインテナンス中に当院に来院されなくなってしまった患者さんの状態は不明であり、来院されていない方はメインテナンスしていても口腔内の環境が悪化して来院しなくなった可能性も否定できない研究となります。

結果

歯の磨き残し(PCR)

歯肉からの出血(BOP)

4mm以上の歯周ポケットの深さ(PPD)

アクセルソン先生の研究との比較

当院でメインテナンス中602人のメインテナンス開始後の抜歯本数は36本でした。

メインテナンス期間中 年間の一人あたり失った歯の本数

抜歯理由

考察

当院でもアクセルソン先生の研究結果と同様にメインテナンスで歯の喪失リスクである磨き残し、歯肉炎、歯周病の進行を防ぐ可能性が示唆されました。当院における年間の一人あたりの抜歯本数がすべてのグループでアクセルソン先生の研究結果より低い値を示したことは、歯の喪失がメインテナンスの後半に起きるのでメインテナンス期間が短いこと、さらに矯正治療で抜歯が必要となる症例では大きな被せ物が装着されている歯や失活歯を抜歯対象としているため、喪失するリスクの高い歯を抜歯した状態でメインテナンスを開始することで喪失歯数が減少している可能性があります。またアクセルソン先生と同様に年齢の低いグループでメインテナンス中のリスクも低く、歯の喪失本数も少ない傾向を認めました。したがってメインテナンスをできるだけ低年齢から始めることが歯を守る上で大切です。

メインテナンスをしていて最も大きい歯の喪失原因は破折でした。破折の原因は噛む力が集中したことで割れてしまうのですが、虫歯が繰り返され歯を削る治療が繰り返されその結果虫歯が神経にまで到達し神経をとる歯内療法が行われたりして本来の歯が少なくなることで歯の破折につながります。次に多い抜歯の理由が歯内病変であった原因として、歯の神経を失った失活歯の場合には、被せものが外れたり根の先に膿ができてしまっても再治療ができないもしくは行っても長期に保存できないために抜歯となる場合が多くあるためです。歯の破折と歯内病変による抜歯を防ぐためにも虫歯の発生を防ぎ歯を削る量を減らすことが重要です。