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予防歯科 啓発活動

株式会社富士通 健康推進セミナーレポート2019.6.18
「令和時代の予防歯科〜今からでも間に合う家族の予防歯科〜」
OPひるま歯科 矯正歯科 院長 晝間康明

株式会社富士通 健康管理室による健康推進セミナーが開催され、集まった社員の方々約150名に向け、アップルデンタルセンター院長の畑先生、衛生士の花岡さんとともにOPひるま歯科 矯正歯科の晝間康明院長先生が講演をされました。「令和時代の予防歯科」と題した同セミナーは、畑先生から「今からでも間に合う成人の予防歯科」、晝間先生から「家族で始める予防歯科」、花岡さんから「年代別具体的なケアの方法」という3部で構成。そのなかから晝間院長先生の講演をご紹介します。

予防歯科はなぜ必要?

皆さんのお口の中には、むし歯治療をした歯が何本ありますか。治療をした歯はもう元の歯に戻ることはありません。今ある歯を守るためには、むし歯にならないようにすることです。それには、健康な口腔内をつくること。むし歯の原因は細菌です。細菌は普段は目に見えないのですが、色をつけると細菌のいる場所、量や活動性がわかります。みがき残しがあれば細菌が繁殖して、やがてむし歯になります。当院では顕微鏡で確認していますが、細菌がとても活発に活動しているのがわかります。ご自身やお子さん、お孫さんがむし歯にならないために必要なこと、それが予防歯科なのです。

子どもたちの予防を始めるのはいつ?

歯は生後7ヵ月ごろから生え始め,乳歯は3歳ごろまでに20本が生えそろいます。そのころ、生え替わりの永久歯はもう歯茎の中にスタンバイしているのです。乳歯は抜けてしまうからむし歯になってもいいのでは? と思う方もいますが乳歯がむし歯になるということは、口腔内に細菌が多く存在しているということです。そのような環境に生えてくる永久歯は、生える途中でだんだんとむし歯になる可能性が極めて高くなります。つまり、永久歯を守るためには乳歯を守らなくてはならない。予防は、歯が生え始めたころから必要で、乳歯から永久歯への生え替わり、そして永久歯列の完成といったプロセスの管理が特に重要となります。

子どものむし歯は減っている?

近年、子どものむし歯が減っていると言われています。データ上でもむし歯のある園児は昭和45年は約95%ですが、平成29年には約35%に減少しています。では実際に子どものむし歯は減っているのでしょうか。

このデータは学校歯科検診のもので、むし歯の有無については「う窩(=むし歯によってできた穴)」があるかどうかという判断になります。ではう窩がなければむし歯ではないのでしょうか? そもそもむし歯は、エナメル質に穴が開く前に歯の内部で進行しています。レントゲン撮影をすると確認できますが、学校の検診では当然そこまではやりませんので、むし歯ではない、という診断になります。

なぜむし歯になるの?

むし歯は細菌の感染症で、家族とのスプーンや箸の共用などからの感染が多いと言われています。当院ではむし歯菌に関する検査を行いますが、ご家族のお口に高レベルのむし歯菌の存在が認められた場合、お子さんにも感染が起きている確率が高いということがわかっています。

当院ではご家族とお子さんの生活習慣を聞き、問題のあるところを一緒に考え最適なアドバイスをし改善していきます。まずはご家族皆さんの現在の状態を知ることがメインテナンスの第一歩です。

山形県日吉歯科の熊谷先生が提唱されているMTM(メディカルトリートメントモデル)という予防歯科を当院でも採り入れています。患者さんのお口の中の状態を確認し、ひとりひとりの患者さんに合わせた予防プログラムを考え、最小限の治療を行い、定期的にメインテナンスをして生涯歯を守るというものです。実際に日吉歯科では、5歳までにMTMを開始すると12歳でむし歯は0.1本、継続していけば20歳で1.1本という結果が出ています。全国平均では12歳で1.7本、20歳で6.7本のむし歯があるというデータがあり、MTMの効果を理解していただけると思います。当院でもMTMを実践し、子どもたちの予防に注力しています。

年齢別に考えよう

子どもの口の中は年齢ごとにさまざまな変化があり、それぞれの注意点があります。

0〜2歳(乳歯創出期)

乳歯が生え始めるときです。下の前歯が生え始めるころは、むし歯菌の感染を防ぐことがもっとも大事です。子どもたちの乳歯をしっかり育てましょう。

3〜5歳

乳歯が20本生えそろいます。この時期もむし歯菌の感染を防ぐことが第一です。さらに噛み合わせのチェックもしていきましょう。万一、乳歯列で反対咬合が認められた場合など、当院ではまだ積極的な矯正治療は行いません。この時期に噛み合わせが改善したとしても、大人になってその歯並びを維持できるという科学的根拠がないからです。この時期には、いつの時点で、こういう治療をしていけばよいということ、今大切なのはむし歯の予防だということをご両親に伝えます。最適な時期に最適な治療をするため、経過観察を続ける時期なのです。

6〜11歳

いよいよ永久歯が生えてきます。ここが大きなターニングポイントです。もっとも大切な6歳臼歯と言われる第一大臼歯、これを守っていくことが重要になります。この歯は前から数えて6番目の歯で、永久歯の中でも一番大きく噛む力も強く、一生自分の歯で食べ物を美味しく食べるために大切な歯です。この歯がなくなったり割れたりすると食生活をはじめ、口の中全体に大きな影響を及ぼします。むし歯にならないように注意していきましょう。

6歳臼歯は乳歯列の奥から、ちらっと見え始めます。しかしそこから1年半から2年ぐらいをかけてゆっくりと生えるため、むし歯になる確率がとても高いのです。手前にある乳歯の方が高さがあるため、奥にある6歳臼歯の小さな頭にはなかなか歯ブラシが届きません。メインテナンスでは、6歳臼歯の成長もしっかりと管理し、歯ブラシの使い方を説明していきます。

12〜20歳

永久歯列が完成するのが12歳ぐらいです。今度は6歳臼歯の奥に生えてくる7番目の歯、第二大臼歯を守ります。女の子は12歳ぐらいで成長が落ち着いてきます。このころがようやく歯並びの改善ができるタイミングです。矯正治療は早期発見早期治療が最善ではなく、将来に亘って正しい噛み合わせを維持できる時期に最適の治療をするのが最善なのです。それまでは、矯正治療を清潔な口腔環境で始められるようにメインテナンスを継続しています。そうすることによって、将来むし歯になるリスクも非常に低くなると言えます。

予防歯科の診療室は?

当院の診療室はすべて個室です。これは患者さんと向き合い、さまざまな説明をし、しっかりと理解してもらうためにも必要で、予防型の歯科では診療室は個室でなければならないのです。

では小さい子どもさんの実際のメインテナンスはどういうふうに進めるかというと、まずは診療台に座る練習や器具の説明などから始めます。小さな子でも歯医者さんは怖いところではなく、歯を強くするところだよと説明すると必ず理解できます。毎回ひとつずつできることを増やしていって、今日できたことは褒める、そして次に乗り越えられる課題を設定する、という繰り返しでメインテナンスを進めていきます。これを担当するのは歯科衛生士です。歯科医師も状況を常に把握し、メインテナンスを管理しています。

家族全員でメインテナンスを!

お子さんのむし歯予防について話をしてきましたが、予防には生活習慣がとても大切です。当院に矯正治療で来院された成人の患者さんに、治療に際し、予防についての説明をするとお子さんやご家族のメインテナンスを開始される方がたくさんいらっしゃいます。そういう方は健康への意識が高く、生活習慣の改善にも協力的で、ご家族で健康な口腔内を維持されています。やはりご家族全員でメインテナンスをすることがとても大切なことです。ぜひこれからお子さんやお孫さんの乳歯と永久歯をむし歯ゼロにするとともに、ご自身も一生自分の歯で食事できることを目指し、メインテナンスを始めてください。