| <歯を少しずつ削る>話の前に、ここには書かれていませんが、ケンさんの矯正治療は少なくとも上下左右計4本の歯を抜歯して行われていますね?そのうえで、十分に口元が後退していないので、さらなる対処の一つとして<歯を少しずつ削る>方法の有効性をお尋ね、と理解してお答えします。 いうまでもなく、もし上下顎前突を非抜歯で矯正しているのであれば、それは治療ではなくただ並べているだけで、口元の問題だけでなく、咬合の面からも<歯を少しずつ削る>方法ではなく、抜歯による再治療が必要です。 抜歯による矯正治療が行われているという前提で、さらに<歯を少しずつ削る>という方には基本的には賛成しません。この方法は、非抜歯論者(何が何でも歯を抜かないことはいいことだと唱道する論)が、抜歯の代わりに歯を削って小さくしようとする(隙間を作ろうとする)考えが元々のものです。 堅牢なエナメル質を削除することに抵抗があること、その量に限度があること、本来の歯が平均より大き過ぎるのであればともかく、平均的な大きさの歯を削除して小さくすることの危険性等々、意見は矯正医によって異なりますが、以上が<歯を少しずつ削る>方法に賛成しない者の基本的な考え方です。 当院では、日常の臨床でこの方法はとらないので具体的資料はありませんが、歯の削除量には限界がありますので、<どれくらい前歯を下げることが可能>かは、口元を希望どおりに改善する(明瞭に変化を確認できるほどに改善する)ことは、まず無理といえましょう。では、この種のケースに対しどう対処するかは、資料がないとハッキリしたことは言えませんが、原則的には、有効な親知らずの存在が確認されれば、その手前の第二大臼歯(7番)を抜歯、その隙間に向かってすべての歯を後ろに送り、親知らずを7番に代用する、というのがもっともよく採用される方法と認識しています。
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