| 診断から治療方針、調整等すべての内容を一人の先生(院長)がやるのが望ましいのは確かですし、それを(トーマスさんを含めて)患者さんが希望する所であることは、どの先生(医院)も十分理解しているものです。ですから、模範解答的にお答えすれば、すべて院長にやって欲しい旨を伝えるべきです、ということなるのでしょうが、患者さんの来院したい曜日や時間はかなり限定されていて、ガラガラに空いている時と1分1秒でも惜しいくらい混む時などがあって、その調整のために他の先生や衛生士さんが出来る部分を担うことはどの医院でもあり得ることで、その点は患者さん側にもご理解頂きたいところです。 矯正治療は診断と治療方針が根幹にあって、それが決まってしまえば、実際の治療ではある程度ルーティンに従って決まった操作を続けるだけですので、<矯正を始めると決まった時点で矯正の先生というのはある程度、方針が出来上がっていて私が心配することはない>と、考えて頂いてよいかと思います。 文面から推測すると、トーマスさんの通われている医院は規模の大きい所なのでしょうか。院長以外の先生は、いわゆる勤務医というより将来の開業に向けて研鑽を積んでいる先生かと思いますが、治療方針の中で手順はほとんど決まっていますので、問題がなければ、ワイヤを外し、曲げ、組み込むという一連の手順の繰り返しは、勤務医ができることです。口の中を見て、問題があるかどうかはすぐ分かるもので、予測と異なる事態を見てとったときは、一分ほどでは済まず長居をするはずです。その時にはむしろ何か問題が起きたのか問うても良いかも知れません。 診療日に院長が口腔内を診るのは、まさに<動きの具合>をみているのであって、何ヶ月後に大掛かりに何かをする、というわけではありません。歯根吸収にかなり慎重になっておられるようですが、初診時のレントゲンで特別な所見がなければ、定期的にレントゲンを撮って調べるということは、一般的にはしないものです。治療の進捗状況を知りたいときは、そのために時間をとってもらうようあらかじめ頼むことです。余程頻繁だとか、度を越して執拗でないかぎり、それを断ることはまずあり得ません。 蛇足ながら、昨日の学会で興味ある講演がありました。歯根吸収を年齢や性別、喫煙歴など色々な因子を基に分析したところ、すべてに因果関係が認められず、遺伝子を中心に調べたところ、極めて高い確率である遺伝子の存在が歯根吸収に関与している、という結果が出たというものです。今後、この面からの研究報告が出るものと期待されます
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