| AI様 ご質問いただきありがとうございます.院長・矯正担当の晝間康明です. ご質問の内容から乱杭歯や八重歯といった状態ではなかったが下顎が下方成長由来の反対咬合等の噛み合わせの問題が起きている状態だった事もあって矯正治療を開始したと理解します. また,私の臨床経験でオトガイ部の痛みを主訴に受診された患者さんを経験した事が無い事,痛みの改善の為だけに矯正治療を行う事は無い事,成長が終了した年齢(AIさんの矯正治療開始時年齢19歳)に対して成長をコントロールする様な矯正装置を装着する事はしない事,AIさんの治療方針に対してほとんど理解出来ていない事を踏まえて回答をお読み下さい.
そして,AIさんの疑問はまず主治医に相談する事,相談しても理解や納得が出来なければ資料等を借りてセカンドオピニオンを受ける事をお勧めします.相談もせずに安易に自己判断で治療を中断すると治療が上手くいかなかった場合でも,その原因が治療方針にあるのかAIさんにあるのか分からなくなってしまいます.
> ・Aさんと同じような治療をした場合、圧下の後戻りはどのように防ぐのですか?今回の矯正での圧下は上下的な保定はなく、2ヶ月くらいでほとんど戻ってしまったように思います。 そもそもAIさんが反対咬合であった場合,上顎を圧下すると下顎が前上方に回転して反対咬合が強くなります.インタビューのAさんは上顎前突の症例であった事,他院での矯正治療で本来の生体の変化ではなく下顎が下方へ回転したため上方へ回転しても安定すると考えて圧下を行いました.その結果,圧下に対する保定ではなく通常の保定装置しか使用していませんが安定していました.また,圧下はある程度の期間が必要なのでそもそも2か月で圧下が出来ていたかが疑問です.
> ・圧下は難しく、後戻りの可能性が高く、歯根吸収の可能性も比較的高いというような情報を見かけたのですが、そうなのでしょうか? お使いの「上顎を前上方に引っ張る口腔外装置(ヘッドギアのようなもの)」はフェイスマスクと言われるものですが,圧下の力はほとんど働かないと考えています.当院では圧下は主にアンカースクリューで圧下を行っていますが,適切な診断に基づく圧下であればある程度の後戻りはあるものの概ね安定すると考えています
> ・過蓋咬合ではないのに、ガミースマイルを直そうとして上顎だけ圧下をしたら噛み合わせは合わなくなり開咬のような不正咬合になってしまいますか? その可能性は高いでしょう
> ・下顔面が長くなった原因はなんでしょうか? AIさんに当てはまるかは分かりませんが上顎の歯列が拡大されて,上顎の大臼歯が頬側に傾斜し舌側咬頭が張り出してきて臼歯部の早期接触となり開咬になるパターンは非常に多く経験します
> ・上顎を圧下したにもかかわらず、その後圧下前よりも歯が挺出してきてしまうということはありますか? 私は経験した事がありませんが,適切な診断が無ければ何が起きてもおかしくありません
> ・そもそも矯正中の挺出はなぜ起きますか? 歯の移動には挺出が伴いますが,咬合によって挺出が抑えられていると考えて下さい.したがって,しっかり噛めない状態で歯を動かすと挺出する場合があります.また,歯の移動出来る限界を超えても(歯を支える骨の幅越える歯列の拡大等)挺出する場合があると考えています.ただし,矯正治療中に全く挺出させずに治療を進める事が出来ない場合も多々ありますので,矯正歯科医の経験と勘により今は挺出しても後で圧下出来る等と考えて治療を進める事は多いにあります.
> ・ガミースマイルのようになってしまったのは前歯がでたからでしょうか? まずは本当にガミースマイルになったのか,矯正治療開始前の資料との比較が必要です.ガミースマイルになる場合は上顎前歯が下方に移動して歯茎線が下方に移動した場合ですので前歯が前方に出る場合はあまりがミーズマイルにならないはずです.
> ・抜歯をせずに、再矯正してせめて元の状態(歯列、見た目ともに)にもどすことは可能でしょうか? 実際にお口を拝見して,初診時の資料を見ないと何とも言えません.治療期間が短いので装置を外していれば元の状態に戻る可能性もあります.
> ・抜歯をしても、口元が引っ込みすぎないようにすることは可能ですか? 可能ですが,なぜ抜歯をして矯正治療を行わなければならないかの適切な診断が必要です.
以上,回答とさせていただきますがご不明な点があれば再度ご質問いただくか,セカンドオピニオンで来院される事をお勧めします. 来院される際には,予約の際に「AIの名前で質問コーナーに質問している」とお伝え下さい.この質問の内容も資料としてお話させていただきます.
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