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■381 / 3階層)  再治療
□投稿者/ 晝間@ひるま矯正歯科 -(2002/09/27(Fri) 19:51:32)
http://www.hiruma.or.jp
    (以下、かなりの長文です。)
     抜歯・非抜歯についてはこれまでも何度か回答してきましたが、要点を書き出してみましたのでまず目を通してください。
     矯正治療上の抜歯とは、治療目標ではなく目標を達成させるための一手段に過ぎません。したがって抜歯か非抜歯かの判断は、より良質な治療結果を得るために必要か否かの観点でなされるべきものですが、グリーンフィールドというアメリカの一矯正歯科医が唱える非抜歯論に若い医局員が飛びついて、非抜歯そのこと自体を目標に闇雲に非抜歯治療を手掛けている、というの実状です。
     歯科矯正治療の先進国であるアメリカでは、抜歯・非抜歯の問題について20世紀初頭つまり今から100年も前から論争が行われており、忘れたころに非抜歯論が持ち上がっては消え、消えては持ち上がる歴史を繰り返し、今また何度目かの非抜歯論が持ち上がっていますが、基本は抜歯論であることに変わりはありません。
     抜歯をできるだけ避けたいと考えるのは患者さんも矯正医も同じですが、日本人の不正咬合においては、非抜歯で治療できるケ−スはかなり限られているのが現実です。最新出版された矯正専門書にある大学病院矯正科や矯正歯科専門医院の報告では、大体どこも70%前後が抜歯ケ−スだったと記されています。
     なぜ矯正治療に抜歯が必要かについての詳述はここでは省略します。
     顔貌(口元)の審美性については、欧米人(コーカソイド)の鼻は高くオトガイ(顎の先)は突き出ていますから、矯正治療によって口元を引っ込めなければいけないケースは少なく、非抜歯で口元が少し出ても顔貌にあまり影響はありません。問題は、日本人(モンゴロイド)の頭蓋顔面の骨格や歯の大きさ形態が、欧米人のそれとまったく異なるにもかかわらず、欧米人の治療基準をそのまま当てはめて治療しようとすることです。
     多分、患者さんが考えるのとは逆に、矯正治療は抜歯して治す方が一般に易しいものです。もともと非抜歯ケースを非抜歯で治すのは一番簡単ですが、抜歯ケースを非抜歯で治そうとすると難しくなります。それは、非抜歯では抜歯によるスペースがない分、歯の移動範囲や量が制限されるからです。
     矯正治療の仕上がりは何をもって良しとし、何をもってうまくいかなかったとするか。E-ラインは、esthetic line(審美ライン)とよばれる審美性をみるための一つの基準線ですが、これは機能を評価するラインではありません。E-ラインの基点となる鼻を、形成外科的に高くしたりオトガイ(下顎の尖端)を豊かにすれば、必然的に口唇はE-ラインの内側に入ってきますが、それだけでは真に美しい側貌は得られません。
    *E-ラインについては、たとえば下のページで説明を見ることができます。
    http://village.infoweb.ne.jp/?mortondc/talking/No45/talk.html
     軟組織(唇や頬など口腔周囲の筋肉)の機能的な意味を含めた美とは、口唇を閉じた状態での横顔において、鼻の下から唇さらにオトガイにかけてのラインに無理(緊張)がなく、下部組織である骨の状態を再現していることです。
     これは、矯正医が必ず撮るレントゲン(頭部X線規格写真:セファログラム、通称セファロ)でより良く見ることができます。出っ歯の人が口唇を閉じようとすると、多くは前歯が邪魔をしますので、意識的に口唇を引っ張らなくては口を結ぶことができません。この時に軟組織が歪み、ことに下唇からオトガイにかけてのS字状のラインが崩れ、オトガイ(顎の尖端)が不明瞭なノッペリした側貌になります。
     また、極端な前歯突出の場合は、意識しないと口唇を閉じるのが難しく、閉じるとオトガイ筋が緊張して顎の先に“ウメボシ”と称される特有のシワを作ります。この軟組織の状態は、審美的にはもちろん機能的にも好ましいものではありません。
     矯正治療後は、口唇を閉じた時とリラックスしている時の軟組織(唇や頬など口腔周囲の筋肉)の形態がほとんど変わらないことが、軟組織上から見た一つの治療目標であり、仕上がりの善し悪しを見る(まだ他にもありますが)大きな要点です。
     つまり、硬組織(歯や顎)が奇麗になり、歯が引っ込みキチンと咬むことは矯正治療としては当たり前のことで、さらに、軟組織をできるかぎり調和のとれた状態に治めることが、よりステージの高い矯正治療だといえます。

     以上、過去の回答から再録してまとめたものですが、さて、本題のご質問への回答です。
     <転院先を見つけてから今の医師に話す方がいいか>
     今の先生による再治療はないわけですね。転院を前提に今の矯正医に話をするのであれば、転院先を決めた後でも先でもあまり問題ではありません。
     <今の所から離れて転院先を探した方がいいか>
     医院の選択権は患者さん側にあります。納得のいく医院であれば近くでも遠くでも患者さんが気にすることではありません。それよりも、転院先の先生は何を頼りに選定しますか。
     相談に行かれた大学が非抜歯の方針で治療を行っている所と伺って、みやさんのお住まいが大体想像できるのですが、もし当方を信用されるのであれば、信頼に足る矯正医をご紹介できるかもしれません。その際は個人名が出ますので、差し支えなければメールでお尋ねください。
     <今のリテーナははずしててもいいか>
     治療の仕上がり状態を次の先生にキチンと見てもらうためにも、後戻りさせないようにそのままリテーナーはつけておき、そのリテーナーそのものも先生に見せる必要があります。
     <資料は病院側のものか>
     これは議論の分かれるところで、通常の転院であれば間違いなく資料を次の先生に渡すのですが、このようなケースで資料をどうするかは先生次第です。基本的には情報開示の法律がありますので、みやさんは請求できるのですが感情的なトラブルになりやすい事項ですので難しいところです。次の先生から資料を請求してもらうということは可能ですが、それも双方の先生次第です。
     ちなみに私は、まだ治療開始前でしたが当院の抜歯治療に反対して非抜歯で治療するという先生に転医したいという患者に、資料は全部渡しました。みやさんのケースが当院でしたら資料は渡します。
     <以前の資料があった方がいいか>
     始めからやり直しですから基本的に資料はなくても問題はないのですが、前の治療で何が起きたのか起きなかったのか、責任上の問題を含めて新しい先生としては資料が欲しいところです。
     <間違っているものがありましたら>
     これはいささかむずかしいことで、専門医の目で資料を直に(数値やプロフィログラムなどではなく、生のレントゲンセファロや口腔模型などを)見たうえでないと、みやさんの言葉からとらえた印象で正しい、間違いだと指摘するのは危険です。
     転院の理由はただひとつ、顔貌の改善がなされていないことに極めて不満なので別のところで再治療することにした、ついては今までの資料を全部いただきたい、だけでいいのではないでしょうか。現状の評価は次の先生がキチンとしてくれます。
     ただ、プロフィログラムの横顔を比べて見たときの印象、治療途中で歯が広がり歯茎が目立ってきたこと、終了後のレントゲン写真の感想等、すべて非抜歯治療が間違ったときの典型的な仕上がりである、という感触であることは確かです。
     <歯茎が見えた問題>
     この状態をガム・スマイルあるいはガミーフェイスといい、インターネットでこの文字をキーワードに検索するといくつかヒットしてきますが、ケースによっては改善は不可です。そのケースを非抜歯で扱うのは同業として理解の外です。
     <今の状態から改善の望めない点、再矯正で気をつける事>
     少なくとも今の状態からはかなりの改善が期待できるはずです。一にも二にも、次の先生のフィロソフィ(診療哲学、人間性、つまり何を一番大切と考えているか)と腕次第です。
     お嬢様に納得のいく先生が見つかることを祈っています。

     晝間@ひるま矯正歯科
     メールアドレス info@hiruma.or.jp
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