| おはようございます。晝間康明です。 ご質問の内容から、矯正学的診断としては空隙歯列を伴う上下顎前突(両突歯列)と予想します。
上記の診断ですと多くの矯正歯科医と同様に、空隙歯列の閉鎖だけであれば非抜歯の適応、前歯を後退させて口元の突出感や口唇閉鎖時の緊張感(オトガイ部の梅干し)を緩和させるのであれば抜歯の適応と考えます。
■抜歯治療を行った場合の後戻りについて 当院での経験から、空隙歯列の症例では動的治療でスペースを閉鎖しても保定期間中にスペースが現れることがあります。しかし、矯正治療開始前と全く同じ状況になる症例は経験しておりませんし、たとえスペースが発生したとしても再矯正を行いその後は永久固定として対応することで安定させることは可能であると考えています(ただし、永久固定の場合は定期的なメインテナンスが必至となります)。 また、成長が完了した成人の矯正治療は成長期の矯正治療に比べてスペースが残りやすいので注意深い対応が必要です。 (当院ホームページ>ドキュメンタリー矯正治療を参照してください)
■ガムスマイルについて ガムスマイルの改善は、非常に難しく矯正治療で改善する方もいらっしゃれば変化しない方もいらっしゃいます。より確実に改善することを希望される場合は、外科矯正の適応となるでしょう。通常、外科矯正は保険適応となりますが咀嚼機能障害がなく審美的な改善(ガムスマイルの改善)だけで保険適応することはできませんので保険適応ができない可能性が高いと予想します。また、外科矯正は入院や術後の麻痺、術式によっては歯の失活(神経が死んでしまう)事があるので慎重に選択する必要があるでしょう。 外科矯正を行わずにガムスマイルを改善するためには上顎前歯部の歯根尖部にインプラントアンカーを埋入し前歯を圧下(前歯を歯肉側に移動)することでガムスマイルを改善できる可能性があります。
ご質問の内容から私の感想としては、抜歯の矯正治療をお勧めします。 抜歯後にスペースが残る可能性はありますが、治療開始前に比べれば上下顎前歯が5〜10mm程度後退することが可能な症例と予測され、スペースが後戻りしたとしても1〜2ミリの後戻りになります。すなわち、後戻りしたとしても治療開始前に比べて上下顎前歯が3〜8mm後退し口唇の突出感や緊張感が改善されるからです。
また矯正治療を行うのであれば、後戻りが起きる可能性がある症例ですので術後の管理もきちんと行ってくれる矯正歯科医院で治療を行うことをお勧めします。 近年、歯科医院の経営環境が悪化していることから歯科医院の閉鎖や矯正歯科の診療をやめる歯科医院があり、患者さんが路頭に迷うケースたびたび遭遇しています。
以上、取り急ぎ回答とさせていただきますがご不明な点があればお気軽にお尋ねください。 また、当院ではセカンドオピニオンの対応も行っておりますのでより詳しい意見が必要であれば実際に来院されることをお勧めします。
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