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■3453 / 1階層)  成人矯正の是非および治療方法について
□投稿者/ 晝間@ひるま矯正歯科 -(2008/02/15(Fri) 15:45:13)
http://www.hiruma.or.jp
     <成人矯正に対する不安は募るばかり>
     当院は医院名どおり矯正歯科専門の歯科医院ですが、昨年の実績からみるとひと月に診る矯正患者数はおおよそ500名、一年間の新患数(検査をして矯正することになった患者数)は約150名です。今回VITAEさんのご質問にお答えするために受付に聞いたところ、そのうち20才以上の矯正患者さんは7割強だそうですから、毎月350名以上の成人に矯正治療を行い、年間100名以上の新しい成人の矯正患者さんを受け入れていることになります。
     時代とともに患者の年齢層が変化しているのは確かですが、成人患者が増えてきたこの15年〜20年、数多くの成人の矯正治療に関わってきながら、司法に委ねる事案はもとよりこれといった大きなトラブルもなく今日に至っています。単に運が良かっただけかもしれませんが、知るかぎり、専門的にみて質の高い治療をしている矯正医はどこも同じようなもので、大きなトラブルを抱えた話をあまり聞いていません。トラブルは起こるべきところに集中して起きているというのが、筆者を含めた矯正医仲間の共通した意見です。
     この質問コーナーを設けている主旨は、悩める矯正患者さんの相談相手になることと、<天に唾する>不心得な矯正医を排除し健全な矯正歯科界を醸成したい、というところにあります。それだけに、この質問コーナーを読む一般の方からすると、世の中には<為にならない>矯正医が数多くいるように思え、ひたすら不安が募るばかりかと思いますが、(成人)矯正治療をしてよかったと思っている人達の声は聞こえていないだけでは、といったら思い上がりでしょうか。
     
     <成人矯正のメリットについて>ということですが、矯正を煎じ詰めていえば、広義の予防歯科ということができます。不正咬合の状態によって予防的価値や意味は異なりますが、VITAEさんの今の歯列・咬合状態を投稿から推測すると、いずれ義歯の装着が必要になった時に、歯科医はまず義歯の作りようがないように思います。口腔衛生に十分気をつけるから大丈夫とお考えになるかも知れませんが、26歳の今の状態をいつまでも保ち続けるには限界がある、と考えておくべきかと思います。
     40代、50代の矯正患者さんはもう珍しくもありません。昨年聞いた話では、80代の女性がしかも二人(医院は別ですが)、本格矯正を始めたということです。又聞きなので詳しい事情は分かりませんが、少なくとも今はそういう時代です。それでも、矯正治療を受けるかどうかは最終的にその人の価値観の問題ですから、選択は自己責任でして頂くしかありません。
     前歯部の開咬が10〜15ミリ、下顎前歯部に先天性の欠損歯が2本で、咬合しているのが大臼歯部のみ(らしい)という状態は、不正の度合いとしてはかなり重度で、ご認識のとおり難症例(タフケース)だと思います。すでに数軒の矯正歯科で相談され、相談毎に治療方針が違うことに戸惑われる気持はよく分かります。治療方針は矯正医のテクニック、経験、治療哲学等々によって異なることは、今後も避けようがないのが実情です。その中で、VITAEさんの治療は外科矯正の可能性が高いと、個人的には考えています。
     お尋ねのMEAWテクニックについては、過去ログが一つあります。
    http://www.hiruma.or.jp/cgi-bin/treebbs/cbbs.cgi?mode=all&namber=2673&type=0&space=0&no=0
     差し障りがあるため、この件についてはこの回答以上のことは書きません。いかなるテクニックにおいても絶対というものは存在せず、思い通りの治療ができるかどうかは、自分の治療哲学に合ったテクニックをいかに使いこなすかに掛かっています。なお、自分のことを含めて<70年代から矯正歯科をなさっているご経験豊富な先生>の矯正を、必ずしも良しとは思いません。矯正に経験と知識と技術は大事ですが、気力と体力と進取の気性も大きな要素だと考えています。振り返っても40代〜50代までが盛りで、もちろん人によりけりですが、65才は大きな節目だと思います。認定医や指導医の資格の有無など、ましておやという感じです。
     
     インプラント矯正については、ご指摘の過去ログ当時とは状況も考えもだいぶ変わりました。濫用はすべきではないと思いますが、効用や外科的諸問題についてはかなり肯定的に受け入れており、もう一つの武器として発展するであろうし、それはいいことであろうと考えています。
     <固定歯のコントロールの問題についてもう少し詳しく>ということですので、固定に関する過去ログに少し手を入れて説明します。以下、
     矯正治療におけるインプラントの意味を理解するには、固定(こてい anchorage)の概念を知っておく必要があります。(矯正的)歯牙移動の仕組みは、歯同士の引っ張りっこ(綱引き)であり、矯正治療の基本はその<引っ張りっこ>によって、動かしたい歯をいかにスムーズに目的の場に移動させるかと、移動させてはいけない歯をいかにそこに留めておくか、の組み合わせから成り立っています。そして、この<移動させてはいけない歯をそこに留めておく>ことを固定といいます。
     ヒトの歯は、放っておくと奥の歯が前に移動する性質があります。たとえば、上の前歯をできるだけ引っ込めたい(後に動かしたい)ような場合というのは、逆に言えば、奥の歯は1ミリたりとも前に移動しては困るわけです。しかし、ヒトの歯は生理的に前に出やすいので、単純に前歯と奥歯の<引っ張りっこ>では、前歯が十分引っ込まずに奥歯が前に出ることになります。
     そこで、前に移動して欲しくない奥歯に対して、固定の補強(加強)が必要になります。そのためにワイヤの曲げ、ヘッドギア、ホールディングアーチ、ゴムなど色々な工夫がなされるわけですが、その加強固定の一つとしてインプラント(矯正)があります。この方法は理論としてはかなり以前からあり、一部の大学で試験的に行なったものが昔の論文にありますが、ポピュラーになって来たのはインプラントの技術が進歩したからです。
     以上ですが、VITAEさんのケースへのインプラントの応用は、大臼歯の挺出(伸びて高くなること)を抑えることから、さらに圧下(押し込んで低くすること)を考えているかと思います。ただ、VITAEさんのケースにそれが適切かどうかは、判断する立場にありませんので言及しません。
     <『絶対的にインプラントが必要』と思われた症例>
     これについてはすでに触れているかと思いますが、固定源となる大臼歯が欠損したケースを主として、最大級の固定を必要とする症例が適応症です。ただ開咬というだけで、それがインプラント矯正の適応かどうかという判断はできません。当院では、すでにすべての臨床を副院長が行っていますので定かではありませんが、開咬という理由で固定源にインプラントを打ったケースはないように思います。
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Nomal 成人矯正の是非および治療方法について / VITAE (08/02/12(Tue) 21:45) #3450
Nomal 成人矯正の是非および治療方法について / 晝間@ひるま矯正歯科 (08/02/15(Fri) 15:45) #3453 ←Now
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