OPひるま歯科 矯正歯科 質問コーナー

医院のページへ 使い方 質問をする 最近の質問 ツリー表示 検索

■3168 / 8階層)  抜歯・非抜歯の現状
□投稿者/ 晝間@ひるま矯正歯科 -(2007/08/28(Tue) 16:36:29)
http://www.hiruma.or.jp
    2007/08/28(Tue) 16:43:35 編集(投稿者)
    2007/08/28(Tue) 16:42:41 編集(投稿者)

     今月(9月号)の雑誌・日本歯科評論の特集タイトルが「抜歯・非抜歯の現状」でしたので、この回答のために本の到着を待っていました。執筆者の選定に首を傾げる所はありますが、それぞれの矯正医がこの現状をどう見ているのか、できるだけ客観性を持たせるために執筆者の言葉のいくつかを、そのまま下に記します。

    ・矯正治療では、抜歯も非抜歯もそれぞれが必要なのである。診断や治療計画に根拠があるのなら、対立すべき問題ではなく、共存すべきではなかろうか。いずれかの意見に固守することは「どちらも間違い」といわざるを得ない。そもそも「抜歯か非抜歯か」の設問がおかしいのである。
    ・「抜歯論」「非抜歯論」のどちらかを支持するのではなく、症例に応じた総合的かつ個別化した診断により、決定されるべきものと考える。
    ・日本非抜歯矯正研究会が設立され、積極的な活動がなされてきた一方、「非抜歯」という言葉が独り歩きし、“とある”開業医によって「矯正治療に伴う抜歯はいけない」とするような本が一般向けに出版され、矯正歯科を専門とする歯科医師から、「非抜歯原理主義」とか「非抜歯ビジネス」などという拒否反応を受けたりした。
    ・最近、すべての矯正治療を非抜歯でできるかのような、偏った内容の書物やネット上の情報発信が相次ぎ、そのような知識や情報が患者さんとのコミュニケーションを難しくするばかりか、時には相互不信に陥ることがあるのは、大変残念なことである。
    ・非抜歯の結果の上顎前突や、ものが噛めない咬合状態は、明らかな医療過誤であり、気の毒では済まされない。特に拡大床装置による非抜歯の失敗例が後を絶たない。
    ・今後、真のアンチエイジングな歯科医療としての矯正治療の真価が問われることになる。そのときは、歯周組織や加齢変化をも踏まえた診断と治療が必要になるだろう。
    ・個々の症例に応じた予知性のある治療目標を設定し、その結果、仮に抜歯治療を選択することになっても、その根拠が明確なものであれば、患者さん、術者の双方が納得できるはずである。
    ・「抜くべき歯を抜かないのは、抜いてはならない歯を抜くのと同じである」というケース(註)の言葉は、時空を超えて今なお重い響きがある。
    (註)ケース:歯科矯正史上に名高い<1911年の抜歯論争>の当事者
     <特集を終えてー抜歯論争の盲点>
    ・非抜歯論が、これからの歯科矯正の主流として抜歯論と全面的に入れ替わることはあり得ない。抜歯論、非抜歯論のいずれを選ぶかを争うこと自体、無意味である。
    ・「必ず抜く」というのも「絶対に抜かない」という主張も、ともに誤診誤療を招く可能性に大差ない。自らのリスクを公言しているようなものだろう。
    ・失敗例を減らすには、自分に打てないと思われる球には手を出さないことだ。矯正治療は、単に歯を動かせばいい、といった問題ではない。

     以上、抜歯・非抜歯の現状について、歯科雑誌の特集記事からキー・フレイズを抜粋してお伝えしましたが、執筆者のいずれもが、抜歯・非抜歯の選択には綿密な資料の精査、根拠に基づいた診断と治療計画が大切と説いています。非抜歯矯正研究会の執筆者でさえ、“とある”開業医の所業に代表される乱暴な非抜歯矯正治療の横行に憤っているように、問題は、伎倆や診断、治療方針に確かな裏付けのない歯科医が、<歯を抜かない>という聞こえのいい文句で患者を集め、歯を(あえて矯正とはいいません)動かしている現状があり、それを矯正学会や大学、歯科医師会が阻止どころか、警告や指導すらできないところに問題の深刻さがあります。今回の執筆者の一人が「もっと多くの矯正医が、積極的に非抜歯を検討する努力をしてもいいのではないか」といい、「現実がそうでないことに一抹の疑問を感じる」と書いていることは、暗澹とした気持ちにさせます。
     世に非抜歯矯正研究会はあっても、抜歯矯正研究会などありません。非抜歯ケースを一例も持っていない矯正医などいるはずもなく、結局は非抜歯症例の割合がどれくらいかという問題に過ぎません。非抜歯矯正研究会のバイブルであるDr.グリーンフィールドの理論を理解しないわけではありませんが、見慣れた楕円形の歯列とは異質の、半円形をした歯列には抵抗があり過ぎます。
     全国に矯正に関する研究会は少なからずありますが、非抜歯という治療方針そのものを目的に掲げた研究会は、ここしかないように思います。非抜歯という方針を始めから決められていたら、診断も分析も治療方針の決定も必要なくなってしまいます。その安易さに粗悪な非抜歯矯正が氾濫する素地があります。
     非抜歯矯正論者(研究会)は、非抜歯矯正の正当性を声高に喧伝する前に、まず粗悪な非抜歯矯正医を率先して啓発、指導、勧告すべきであり、それが研究会の一員であれば、再教育か除名するくらいの厳しさがあって然るべきです。会の名称は、その責任の所在を表しているといえます。
削除キー/

前の投稿(元になった投稿) 次の投稿(この投稿の返信)
←Re[7]: 矯正問題の集大成ー治療費 /晝間@ひるま矯正歯科 →Re[9]: 抜歯・非抜歯の現状 /ちなつ
 
上記関連ツリー

Nomal 非抜歯治療について / ちなつ (07/08/06(Mon) 16:42) #3098
Nomal Re[1]: 矯正問題の集大成ー1 / 晝間@ひるま矯正歯科 (07/08/07(Tue) 13:14) #3101
  └Nomal Re[2]: 矯正問題の集大成ー1 / ちなつ (07/08/08(Wed) 12:10) #3105
    └Nomal Re[3]: 矯正問題の集大成ー番外 / 晝間@ひるま矯正歯科 (07/08/08(Wed) 17:33) #3107
      └Nomal Re[4]: 矯正問題の集大成ー番外 / ちなつ (07/08/13(Mon) 23:29) #3121
        └Nomal Re[5]: 矯正問題の集大成ー番外 / 晝間@ひるま矯正歯科 (07/08/15(Wed) 07:40) #3126
          └Nomal Re[6]: 矯正問題の集大成ー番外 / ちなつ (07/08/17(Fri) 15:43) #3130
            └Nomal Re[7]: 矯正問題の集大成ー治療費 / 晝間@ひるま矯正歯科 (07/08/20(Mon) 18:45) #3140
              └Nomal 抜歯・非抜歯の現状 / 晝間@ひるま矯正歯科 (07/08/28(Tue) 16:36) #3168 ←Now
                └Nomal Re[9]: 抜歯・非抜歯の現状 / ちなつ (07/09/03(Mon) 14:12) #3180
                  └Nomal Re[10]: ひとまず / 晝間@ひるま矯正歯科 (07/09/04(Tue) 13:08) #3182

All 上記ツリーを一括表示
 
上記の投稿へ返信
    • 入力内容にタグは利用できません。
    • 入力するためにはパスワード(投稿用key)が必要です。
      パスワードは、メールセミナーで送られてくるメールの中に記載されていますので質問を希望される方は初めにメールセミナーの登録をして下さい。
      【メールセミナーへの登録はこちらから】
    • 他人を中傷する投稿は管理者の判断で予告無く削除されます。
    • 半角カナは使用しないでください。文字化けの原因になります。
    • 名前、コメントは必須記入項目です。記入漏れはエラーになります。
    • 入力内容の一部は、次回投稿時の手間を省くためブラウザに記録されます。
    • 削除キーを覚えておくと、自分の質問の編集・削除ができます。
    • URLは自動的にリンクされます。
    • 質問中に No*** のように書くとその質問にリンクされます(No は半角英字/*** は半角数字)。
        使用例)
      • No123 → 質問No123の質問リンクになります(指定表示)。
      • No123,130,134 → 質問No123/130/134 の質問リンクになります(複数表示)。
      • No123-130 → 質問No123〜130 の質問リンクになります(連続表示)。

    Name/
    E-Mail/
    Title/
    URL/
    Comment/ 通常モード->  図表モード-> (適当に改行して下さい/半角10000文字以内)
    ※投稿用Keyの欄にメールセミナーに記載されているパスワードを入力してください
    投稿用Key
    削除キー/ (半角8文字以内)
    解決済み! BOX/ 解決したらチェックしてください!
      プレビュー/ 

Pass/

医院のページへ 使い方 質問をする 最近の質問 ツリー表示 検索