| 2007/08/11(Sat) 16:09:07 編集(投稿者)
歯科矯正学講座の主任教授でもない街の一矯正医の意見(つまりここの回答)を、どの程度信用するかはララァさん次第ですが、一言でいえば<ごく当たり前の矯正>をする所が一番確かということです。<ごく当たり前>を知るためには、<当たり前でない>というのがどういうことか、分からなければいけません。 2002年8月の読売新聞に載った聖マリアンナ医科大学(当時)の山本竜隆医師の言葉が分かりやすく、この質問コーナーでも何度か使わせて頂いているので、改めて引用します。これは、物事の真贋を見分ける心構えとして他にも通用するかと思いますが、矯正歯科向きにコメントを加えて、<当たり前でない(怪しい)>歯科医の特長を下に引用します。 1)「何にでも効く」「これだけすれば大丈夫」とうたう。 *世に万病に効く薬はありません。矯正テクニックにも絶対というものはありません。矯正の治療経験を積めば積むほど、どんなテクニックをもってしてもすべてを非抜歯で矯正できるはずはないと、良質な矯正を目差してきた矯正医ほど知っています。 2)特定の人以外は出来ない方法(教祖のような存在がいる)。あるいは 自分だけしかできない方法。 *「日本でこれができるのは私だけ」という矯正医が本物だったら、すでに矯正学会のみならず歯科界で超有名になっているはず。 3)高額である。 *矯正の場合は安過ぎる場合も問題。いずれにしても妥当な額から極端に離れた治療費の医院は何かがあります。 4)科学的根拠または理論が全くない。 *矯正歯科も日本はもとより世界各国に学会があり、発表された優れた研究や臨床はただちに世界に伝播されます。そこで発表せず、閉鎖された集団の中だけで通ずる理論は2)に該当します。現在、医科・歯科の世界ではEBM(Evidence Based Medicine:証拠・検証に基づく医療)でなければ発表さえ許されません。 5)歴史がない。 *基本的におかしなものはやがて廃れ消滅します。ことに狂信的な集団は教祖がいなくなれば消滅します。 6)マイナスの側面を伝えない。 *1)で述べたように完全な矯正術式は存在しません。いいことばかりいうところが危険なのは矯正に限ったことではありません。 7)他の医療体系を批判する。 *独善的な矯正医はまずほとんどが攻撃的です。誤った唯我独尊の裏返しが他への非難で、自説への反対意見には通常まず耳を貸しません。
以上が山本先生の「悪徳医の見分け方」ですが、別の角度からもう一点コメントしておきます。 日本歯科医学会とは、日本歯科医師会の規定に基づいた学術団体で、現在19の専門分科会を擁しています。この19の学会は、いわば<お墨付き>の学術団体で、それ以外は法人組織であっても専門分科会とはまったく別の団体です。 19専門分科会の一つである日本矯正歯科学会には認定医制度があり、その資格取得には当然厳しい関門があります。5年以上学会に所属し、大学の矯正学教室に5年以上在籍、学会の認めた刊行物に論文を発表していることを条件に、自分で治した症例を提出し、審査を通ってはじめて資格が得られます。認定医の資格は5年毎の更新が必要で、提出する症例の資料はかなり厳しく定められているため、矯正医は常に最低限その資料を採ることになります。 資料は、初診時、動的治療終了時、保定時の各時点で必要ですが、その資料には顔面写真や口腔模型は当然として、頭部X線規格写真(セファロ)とその分析も必須条件になっています。これらの資料がなければ、審査委員はもとより第三者が症例の評価をしようにも、しようがありません。これら記録は、治療の評価と検証に必要欠くべからざるものであり、矯正医間で症例を討議する際の重要な情報ですから、それを必要ないと宣言するのは、自分の治療に対するEBMを自ら否定しているのと同じです。ララァさんが指摘するHPの歯科医師は、ザッと探した限り矯正を研修したという経歴がどこにも見られませんし、日本矯正歯科学会への所属も、認定医資格の有無の記載も見当たりません。 以上、ララァさんの疑問に対して直接的な回答は書きませんでしたが、できるかぎり客感的事実をもって回答としました。何をどう信じるかはララァさんの判断次第です。
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