| 歯根吸収の原因は単純ではなく、十分解明されていないのが現状です。歯槽骨も歯根も吸収する細胞は同じで、矯正治療によって圧迫側に出現するその細胞が、歯槽骨だけでなく歯根も同じ様に吸収しては大変なことで、それでは矯正治療はできません。 通常の矯正治療において、歯槽骨は吸収されるのに歯根が吸収されないのは、歯槽骨と歯根(セメント質)の成分の違いにあります。単純にいえば、歯槽骨は海綿骨と呼ばれるように海綿のような腔が沢山あり、その中を血液が流れ絶えず活発な改造現象(骨の作り替え)が起きているのに対し、セメント質は細胞の少ない堅い組織で成り立っています。 歯槽骨は刺激(矯正力)に敏感に反応するため、破骨細胞による骨吸収は容易に起こりますが、セメント質は組織が堅いうえに反応が鈍いため、歯根(セメント質の)吸収が起きることなく歯槽骨の吸収が起きて歯が動いていくわけです。通常、矯正治療が4週間ごとというのは、約2週間の移動(矯正力の効力)の後、組織の修復に2週間を当てるという考え(学説など)に基づいています。 それでも矯正治療によって歯根吸収が起こるのは、矯正力の強さ、期間、方向、頻度などが関係するのは確かでしょうが、その他にその人の体質や疾患あるいは歯根(セメント質)の性状などが関与し、さらに、最近の論文では遺伝子が関与しているという報告があります。
回答になっていないかもしれませんが、話しがむずかしくなりますので、歯根吸収のメカニズムや原因論についてはここまでにします。
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