| 何とも倫理観に乏しい歯科医の言動に、同業の者として痛く恥ずかしい思いです。今年度、医道審議会から行政処分を受けた歯科医院に矯正歯科はありませんでしたので、あおいさんの担当医は矯正専門医ではないはずですが、それにしても文面にある<奥歯でしっかり噛めないし、歯の隙間も気になる>状態で完了にするというのは、<先生の都合で無理矢理外される>と考えるのも当然でしょう。医業停止期間中は診療行為ができない決まりですから、今後のことも考えれば、あおいさんが転院を希望するのは当たり前の発想です。あおいさん以外の矯正患者さんはどうされるのでしょうか。 具体的なアドバイスはなかなか難しいのですが、市町村かその上の都道府県単位の歯科医師会には、必ず相談窓口ありますので、そこに持ち込むのも一つの手段かと思います。ただ、歯科医師会は身内を庇う体質があるのは否定できませんので、納得いく対応がなければ、消費者センターや役所の医療相談に相談することでしょうか。 <模型等の複製費用として5万円を要求> いわゆる矯正資料は、通常は診療継続依頼書と一緒に転院先に引き継ぐものですから、「患者側の都合」で、知らない矯正医に転院されるのを嫌がっての口実だと考えられます。それも色々と後ろめたい所があるための方便で、<自分が紹介する医者に行くなら>というのも逃げの一つだと思います。 以下は、あおいさん次第ですが、まず、あおいさんには一つの落度もなく、すべては、その歯科医が行政処分を受けるような不行跡のために被(こうむ)った不利益ですから、弁護士を立てて法的に解決するぐらいの覚悟を持つこと。そして、まずは矯正専門医に今の状態を診てもらうことです(セカンド・オピニオン)。そのうえで、そこで診療を継続してもらえる条件を提示してもらい、それをもって今の担当医と交渉することです。 加えて、弁護士を立てるなら、あおいさんは以下のような条件を強く提示できるでしょう。 ・自分で探した矯正専門医院に転院すること。 ・転院に際しては、診療継続に必要な矯正資料と診療記録を無料でこちらに渡すこと。 ・「そちらの都合(行政処分)」で転院するので、未納分は被った不利益分と相殺すること。 ・転院先で前医の診療過誤(ミス)が認められた場合は、誠意を持って対処すること。 何より医業停止処分中の身であれば、診療はボランティアであろうと違反行為ですから、弁護士をたてれば先方は折れざるを得ないでしょう。
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