| <海外に滞在することが常にあり得る>ということですが、滞在期間がどのくらいか、渡航の頻度はどのくらいかが問題です。今の時代、治療途中で留学される人は珍しくありませんが、その場合の多くは治療を中断し、帰国後に再開するのがほとんどです。 それは、かってアメリカの留学先の大学病院の矯正科にその間の診療継続を依頼したところ、治療を先に進めず、ひと月に一遍ただ<見るだけ>で帰国してきた経験があるからで、国内でも、いずれ治療を開始した矯正医の所に戻る患者は、基本的に手を出さない所が少なくありません。いつに治療上の責任を負わないがためです。 患者の人種がモンゴロイドかコーカソイドかで治療方針が変わりますので、容易に治療を引き受けられない要因にもなっていますが、使用する装置(システム)が違えば、全取換え(装置の付け替え)をしなければ治療が継続できませんので、同じシステムの先生を探すのがむずかしく、その地域にいなければどうしようもありません。 矯正治療は、一つの疾病をどの先生が診てもほとんど同じ方針(同じ薬など)で治療するわけではなく、たとえば画家が富士山を描くべく下絵を描き、色を塗り始めて途中で別の画家に引き継ぐようなむずかしさがあります。ことに、さきさんが上下顎前突の抜歯症例(日本人に多い症例)だとすれば、欧米系の矯正医(矯正術式)には不得手なケースでしょう。 米国・ヨーロッパ・ロシアといっても、広い領土の中のどこにでも矯正医を紹介できる者は多分皆無で、その地の矯正歯科学会名簿から自分で探して行ってもらうしかありません。 転院にともなう費用の扱いはケースバイケースで、出来るだけ患者さんの不利にならない対応をとりますが、当院は前払い制度ではなく治療にそった支払い形式を採っていますので、転院にともなう返金は基本的にありません。
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