▲[ 873 ] / 返信無し
□投稿者/ トーマス -(2004/06/17(Thu) 20:21:17)
| > トーマスさんは、これから矯正治療を始めようと考えておられる方なのでしょうか。ご質問の内容からはトーマスさんの意向が計りにくいため、意にそった回答になるか自信がありませんが、お答えいたします。 > <前歯を動かすよりも奥歯を動かす方が大変か> > ケースバイケースといってしまえばそれまでですが、これを理解するために、最初に少しむずかしい話をします。 > 歯は、歯槽骨という骨の中の歯槽という穴の中にあり、歯(根)と歯槽骨との隙間を歯根膜という組織が満たして、歯を歯槽骨に繋ぎ止めています。この組織形態をまず頭に入れて下さい。そのうえで、その歯に水平方向、垂直方向、回転、傾斜などの力(矯正力)を加えると、それがどのような方向であっても、基本的に、動いていく側の歯根膜は歯根に圧迫され(圧迫側)、離れていく側の歯根膜は歯根に引っ張られる(牽引側)という二つの現象が起きます。? > 時間の経過とともに、圧迫側の歯槽骨には破骨細胞という食細胞、牽引側には骨芽細胞という造骨細胞が出現し、動こうとする側(圧迫側)の骨は吸収され隙間ができ、引っ張られている側(牽引側)の表面には新しい骨ができて、広がった隙間を本来の幅に修復しようとします。 > つまり歯牙移動とは、歯槽という歯を収容している骨の穴そのものが移動することで、その結果、歯もその位置を変える(移動する)ことになります。これが歯牙移動の生物学的メカニズムですが、この様子は、(勝手に引用しますが)下記のHPのアニメーションで見ることができます。? > http://www.dent.niigata-u.ac.jp/ortho/hp/treat/Q04.html > どのような歯でも、最適な矯正力を用いれば歯牙や周囲組織に損傷を与えることなく、目的の位置に移動することができるという理屈です。その意味で、歯牙移動のメカニズムを十分理解し、それに見合った技術を用いれば、前歯も奥歯も同じように移動させることが出来ます。 > ただ、前歯と奥歯では、歯根の数や長さ、太さ、解剖学的位置、状況などが違いますので、動かす条件によってむずかしさ(大変さ)は変わります。また、ヒトの歯は生理的に前方(専門的には近心)に移動する性質がありますので、奥歯(大臼歯)を後方(専門的には遠心)に移動しなければいけない場合は、かなり大変です。逆に、前方(近心)に移動して欲しくない大臼歯が、そこに留まらず近心移動してしまうトラブルは、どの矯正医も経験し苦心するところですから、一概に前歯の移動は簡単、奥歯は大変とはいえません。それが、冒頭に書いたケースバイケースの意味です。 > <痛みは前歯と比べてどうか> > 痛みは、歯種の違いよりも個人的な感受性(痛みの閾値、つまりどの程度から痛みを感じ出すか)の差によるところが大きく、閾値の低い人(痛みを感じやすい人)はどの歯であっても、矯正力が加わるとかなり痛みを感ずるようです。ただ、一般的に前歯に比べて奥歯はほとんど動かしませんので、その分、前歯の方が痛いと感じることが多いかと思います。これも、ケースによってどの歯をどう動かすかによりますし、また、加える力の大きさによってもかなり違います。 > <上の前歯の歯根は短いものなのか> > 歯の大きい人小さい人があるように、歯根も長い人と短い人があって色々です。上顎前歯(中切歯)の歯根長は、歯冠(口の中に出ている白い部分)の約3倍ぐらいの長さが平均的な値です。しかし、ある種の不正咬合者の上顎前歯歯根ははじめから短い人が多く、またある種の疾患(ホルモン系)を有する人の歯根は未発達で、短根系であるといわれています。 > 回答がだいぶ長くなりました。歯根の長さおよび矯正治療との関係については、(他の先生のを勝手に引用させていただきますが)下記の回答を参考になさって下さい。 > http://www.e-kyousei.com/cgi-bin/tpxbbs/cf.cgi?mode=all&namber=1538 > http://www.e-kyousei.com/cgi-bin/tpxbbs/cf.cgi?mode=all&namber=1322 >
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解決済み! |