| <上顎はI ?とゆう一般的な術式> これはLe FortJ型(ルフォーいっけい)という上顎の骨切り術だと思います。現在、上顎骨の手術は前進させる(下顎前突の場合)にせよ後退させる(上顎前突の場合)にせよ、ほとんどがLe FortJ型で行われているかと思います。 上顎は複雑な骨の複合体で、ことに前方では鼻の構造に直結しているため、上顎骨をいじると鼻の形態に影響が出るのはある程度やむを得ません。上顎骨の移動の際に鼻翼が広がることを避けるために、同時に上唇の裏側から広がりを防ぐ手段を講じる外科医もいます。 広がってしまった鼻について、担当した矯正医ことに外科医に相談はされたのでしょうか。治すとしたら美容整形ではなくキチンとした形成外科へ行ってください。詳細は省きますが、形成外科の目的は再建外科ですがその先に美容外科があり、それは学術的に行われている正当な治療だからです。 歯肉の状態は手術の結果として成るべくして成ったものですが、口腔外科か歯周外科で歯槽骨整形と歯肉粘膜切除で整形できるはずです。鼻の件も歯肉の件も、合わせて口腔外科で対応できるはずですので、今の先生方とでは話が前に進まないようでしたら、歯科大学病院の口腔外科に相談されるのがよろしいかと思います。
なお、Le Fort I 型骨切り術に伴う鼻部の変化について、 日本顎変形症学会雑誌に発表された研究の抄録がありますので、下に引用しておきます。発表した大学の矯正歯科のHPには、メールで相談ができるようになっておりますので、詳細はそこで尋ねてください。 http://www.dent.niigata-u.ac.jp/ortho/hp/ortho.hpinfo.html (ここの「矯正歯科治療QandA」下段に「質問はこちら」とあります。)
(参考) Le Fort I 型骨切り術に伴う鼻部の変化 −上下顎移動術を施行した女性骨格性下顎前突症例について−日本顎変形症学会雑誌 (2002) 12(3), 85-93 , 【目的】 顎矯正手術に伴う軟組織の変化として口唇部やオトガイ部などが変化することは過去にも報告されているが,上顎骨の移動に伴う鼻部への影響について検討したものは少ない。本研究の目的は,顎矯正手術による上顎骨の移動に伴う鼻部の形態変化について検討することである。 【資料および方法】 上下顎移動術を施行した骨格性下顎前突症30症例について,上顎骨Le Fort I 型骨切り術の移動方向に従って3群に分類し,術前後における鼻部の形態変化について比較検討した。資料として,手術直前と術後6か月以上経過時に撮影された側面頭部X線規格写真および正貌規格写真を用いた。 【結果および考察】 1.前上方移動群では,鼻尖,鼻下点ともに前上方へ変化した。 2.前方移動群では,鼻尖,鼻下点ともに前方へ変化した。 3.前下方移動群では,鼻尖は前方へ,鼻下点は下方へ変化した。 4.鼻翼幅径に関しては術後に3群とも増加を示し,その変化量は,前上方移動群,前方移動群,前下方移動群の順に大きく,上顎骨の上方ならびに前方移動量が大きくなると,術後増加する傾向が認められた。Le Fort I 型骨切り術に伴う鼻部の形態変化は,硬組織と軟組織の移動比率に一定の傾向は認められないものの,上顎骨の移動様式により異なる特徴があることが示唆された。
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