| <非抜歯治療によって顎関節症になる可能性>というご質問の意図がよく分りませんが、非抜歯矯正にせよ抜歯矯正にせよ、矯正治療と顎関節症発症の因果関係は、ないと言えばないし、絶対にないかと言われれば絶対にとは言えません。 最新の研究論文を深く調べてはいませんが、最近の認識では、これまで言われていたような咬合由来(悪い歯並びや咬み合わせが原因)の顎関節症は全体の4割ほどで、6割の顎関節症は、ストレスや生活習慣など咬合とは別の原因で起きており、顎関節症科の対応も生活指導がほとんどと言っていいようです。 矯正治療によって顎関節症が引き起こされるのは、もともと潜在的にあったものが、矯正治療というダイナミックな変化によって顕在化するもので、矯正治療は顕在化の引鉄(ひきがね、トリガー)になる、というのが矯正医の中で比較的広く受け入れられている考え方です。 ただ、矯正治療に誤った見立てと治療方針、不適切な歯牙移動、不合理な仕上げなどがあれば、いつかどこかで顎関節症を発症させる可能性があることはいうまでもありません。しかし、<どれくらいの顎の拡張が顎関節症の発症に危険か>という、非抜歯あるいは拡大という特定の方針に対して因果関係を示す論文や発表は、読んだり聞いたりした記憶がありません。もっとも、拡大を前提とする非抜歯論者に言わせれば、<非抜歯治療によって顎関節症になる可能性はゼロ>というかも知れません。
以上、モスさんに満足のいく回答はできません。ご質問は日本矯正歯科学会(下記)に直接尋ねられるのがよろしいかと思います。 http://www.jos.gr.jp/mail/index.html
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