| まず、ほとんど同じ内容のご質問にお答えしたもの(下記)がありますので、参考のためにまずそれをお読みください。 http://www.hiruma.or.jp/cgi-bin/treebbs/cbbs.cgi?mode=all&namber=2385&type=0&space=0&no=0
そのうえで、「マイクロインプラントアンカレッジ(MIA)を用いた矯正歯科治療」(砂書房 著者:朴孝尚 監訳:古賀正忠ほか 2005・10・5発行)を参考にしながら回答していきます。 このシステムの問題点は、外科手術(インプラントの植立)に関することと、矯正治療上の2点に大別されるようです。インプラントは外科処置ですから、手術に関する一般的な諸問題(麻酔、感染、組織の損傷、痛みなど)に加え、植立するためのホール形成や位置、方向などのむずかしさや失敗があります。これらは外科に関することですので、基本的に外科医に帰する問題ですが、加えてインプラントの分、本来の治療費以外の費用が掛かることになります。 矯正治療に関する問題では、牽引するコイルが歯肉に食い込んで炎症を起こす、牽引中にインプラントが動揺、脱落することですが、口腔清掃不良による感染を起こしやすいので、より一層の口腔衛生に注意が必要になります。ちなみに、矯正装置装着時の清掃のむずかしさは、下記の質問でお答えしたことを参考にしてください。 http://www.hiruma.or.jp/cgi-bin/treebbs/cbbs.cgi?mode=all&namber=2427&type=0&space=0&no=0 その他の矯正治療上の諸問題は、内容が専門的になることと、矯正医に帰する問題なので省略します。
以上ですが、そもそも田中さんのケースがインプラントを植立する必要があるケースなのかどうか。日常の矯正臨床において、知識と技術と経験のある矯正医がインプラント・アンカーをぜひ必要と考えるケースは、ほんの数パーセント程度ではないかと思います。 特殊なケースでは治療期間が短縮されるということがあるかもしれませんが、そんなにいいことだらけではありません。田中さんは、何か画期的な治療法が開発されたかのように思っておられるようですが、感覚的には、車にフォッグランプを取り付けて、濃霧の時は確かに役に立ったけれど普段は、ぐらいの感じでしょうか。 当院でも、どうしてもインプラント・アンカーが必要なケースであれば適用しますが、口の中には出来るだけトラブルになるリスク要因を置きたくない、という気持ちがありますので、濫用的な適用はあり得ません。
|