| 2006/11/01(Wed) 14:53:52 編集(投稿者)
2003年7月、矯正治療中にできた虫歯の責任を問うた裁判で、歯科医院側に55万円の支払いを命じた判決は、矯正歯科界を驚愕、震撼させました。 (参考記事) http://www.f-take.com/040301-dentaltoday-taura.htm 判決を受けて、日本矯正歯科学会は小児歯科学会.口腔衛生学会の3学会と合同で、「矯正歯科治療等における口腔衛生管理に関する提言」を発表したことで、以降、矯正歯科医院では口腔衛生管理により一層留意するようになりました。 その頃、小泉政権は構造改革の一環として医療費の抑制政策をとったことから、病気の予防に国民の関心が注がれるようになったこともあって、歯科界でも予防歯科が強く叫ばれるようになりました。それでも、唾液検査、PMTC,3DSなどの実質的な行為は、日本ではまだ端緒についたばかりです。 先の判例を持ち出すまでもなく、レイナさんのように口腔衛生意識の高い患者さんが増えていますが、「矯正歯科医は矯正歯科治療以外に手を出すべきではない」という、旧弊な観念に囚われた矯正医も一部にはおり、また、理念は理解しても旧来のシステムを変更できずにいる矯正医も少なからずいます。 「種の起源」を書いたかのチャールズ・ダーウィンは、「生き残ることのできる種は、最も強いものでもなく、最も賢いものでもない。それは、最も環境の変化に対応したものである」と述べています。自省も込めていえば、レイナさんの通院している歯科医院は、環境の変化に対応しきれずいつか淘汰の波に呑み込まれる運命かもしれません。
以上は、回答とは余分な独り言として読み飛ばしていただき、ご質問にお答えします。 <PMTCは装置をつけたままでもできるのでしょうか?> ワイヤを付けたままで、という意味かと思いますが、かなり不十分なクリーニングにならざるを得ないと思います。ちなみに、当院の歯科衛生士さんが現在矯正治療中で、その経緯をHP(下記)で公開していますが、プロである衛生士さんでも矯正装置がついた状態では、磨き残しが出てしまうものです。 http://www.hiruma.or.jp/html/documentary/08.htm それほど装置装着中の歯磨きはむずかしいものですが、矯正治療中に限らず虫歯や歯周病のリスク管理には、それぞれに工夫された道具や薬剤、テクニックが予防歯科にはあります(あるはずです)。それにはどこの歯医者に行けばいいか、具体的なことは分かりませんが、今掛かっている矯正医に相談し、その先生の責任で予防歯科に精通し実践している歯科医を、紹介してもらいうのが一番確かだと思います。
|