| 外科矯正の基本的な考え方は、手術によって上下の顎の関係を改善する時(手術中)に、キチンとした望ましい咬合関係(咬み合わせ)にできる状態であることが必要です。そうでないと、手術中に切り離した顎をどこに固定したらいいか決まらず、望ましい位置に固定できない事態が生じます。 術前矯正が不十分ということは、術後矯正が長引くというより期間が掛かったうえに治しがむずかしく、結果も良くない(最悪の場合は再手術になる)可能性も少なからずあります。 当院には投稿者さんと同じ経過を経た方で、強い希望により術前矯正なしで直接手術から現在術後矯正中というケースが一例ありますが、手術に臨むに当っては、術前に外科医と矯正の担当医(副院長)はかなり綿密なシミュレーションを行ない、特別の準備等大変な苦労をしていたのを見ています。 お陰で今は三者(外科医、矯正医、患者)が納得する経緯で術後矯正は推移していますが、外科矯正の保険適用は当たり前のシステムが前提ですから、このようなやり方を保険でやるのは採算という面でも合わず、保険適用外や結果についての評価などかなりの制約や条件を了解されないと、投稿者さんの希望に添おうという矯正医は現れないように思います。(安易に引き受ける矯正医がいたらむしろ要注意です。) 投稿者さんの<術前矯正を短くしたい>という理由は、術前矯正中に咬み合わせの逆が強調されるのが辛いということだと思いますが、それは咬み合わせだけで顎の長さまで強調されるわけではありませんので、思っているほど外見はひどくなりません。 色々なリスクやデメリットを考えれば、投稿者さんには通常どおりの治療方針で矯正されることを強く勧めます。それが後悔しない選択だと思います。
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