| カナダで矯正を開始して、日本に帰ってからもそのまま診療を継続することが可能かどうかというご質問ですが、基本的には国内の転院と同じで可能です。一方、<装置が違う場合や、方法が違うと受け入れてもらえない>というのもその通りで、これは国内でも同じです。そのため、国内で転院する場合は、担当医が自分と同じテクニック(治療術式)の矯正医に診療の継続を依頼するものです。 治療法とは矯正術式(テクニック)のことで、装置はテクニックによって決まっていますので、方法と装置とは同義と考えてください。そのうえで、アメリカ、カナダで行われている治療法は日本と変わりませんので、日本への転院に際しては、その治療法を用いている矯正医を紹介してもらうか、井上さんご自身が日本で探すか、ということになります。 ただ問題は、そちらでもっとも多く用いられている術式が日本でもポピュラーとは限らないことで、カナダの矯正医の術式が何か、が重要になってきます。これは治療方針にも当てはまることで、その理由は人種の違いにあります。欧米系のコーカソイド人種と日本人のモンゴロイド人種は、顔面骨格においてことに顕著な違いがあり、それにともなって発生する不正咬合のあり方にも大きな違いがありますから、治療方針も当然異なり、それに合った術式が選択されるのはある意味当然の結果です。 <カナダではあまり歯を抜かないようだ>というのは、患者がコーカソイドだからであって、カナダだからではありません。日本でも一部の勘違い矯正医が人種の違いを無視して、モンゴロイドに対して非抜歯矯正を声高に唱えている向きもあるにはありますが、鼻が低くオトガイも貧弱で顔が扁平な日本人に非抜歯矯正を行えば、口元が突出した顔貌ができあがるのは必然の成り行きです。それでも<歯を抜かないことはいいことだ>という一点である種の患者さんから共感を得ているようですが、井上さんがモンゴロイド人種であれば、矯正後の顔貌を考慮して矯正医を選ばれることです。 以上のことを踏まえたうえで、井上さんがいつ日本に戻られるかですが、そんな先の話でなければ転医に関わるトラブルを避けるためにも、またモンゴロイドはモンゴロイドの治療を沢山手掛けている矯正医の方が無難という点からも、日本に戻られてから矯正を始められてはいかがでしょうか。
|