| タクさんがご覧になった症例は、下記のページの症例[1]でしょうか。 http://plus.e-kyousei.tv/ryoutotsu.htm この症例だという前提で一般論をお話しますと、まず、タクさんのいわれる<歯と歯の隙間が開いてしまっていて>という状態は、専門的に<ブラック・トライアングル>といいますが、このように矯正治療後に隙間ができる(見える)ことはあり得ることです。 この現象の多くは、歯茎が減った(歯肉退縮)というより、デコボコの歯ならびの時には歯肉も重なって隙間が見えにくかったものが、矯正治療によって歯が整列されると、実際は歯と歯茎の位置(骨や歯肉の高さ)が治療前と違いはなくとも、結果として歯茎の隙間(ブラック・トライアングル)として目に見えてくることがあります。加えて、(このケースには当てはまりませんが)もともと前歯の形は台形ですから、その形態が強ければブラック・トライアングルになりやすくなります。 また、この患者さんの年齢は分りませんが、成人では、加齢的に歯をとり巻く骨や歯肉(歯周組織)の細胞の活性が下がり、加えて不正咬合のために歯周病に罹患していることが少なくありません。このような場合は矯正治療後にブラック・トライアングルが現われやすくなります。 この患者さんのように、治療開始前の矯正資料から、治療後にブラック・トライアングルの出現が予測されるようなケースでは、矯正医は治療に先立ってその可能性を告げますが、歯周組織の状態からその出現を完全に防止するのは無理だと考えます。その意味で、歯周組織の審美的な問題は残しているものの、矯正学的にこのケースを不成功という評価はしません。 ブラック・トライアングルを防ぐ方法は、患者さん自身の歯周の管理、つまり歯周病にしないことと、その疑いのある場合には速やかに歯周病の予防的処置あるいは治療をすることですが、ブラック・トライアングルが出現した場合は、台形の歯を削って長方形に変える場合もありますし、歯肉の移植という方法もありますが、絶対的な方法というのは今のところありません。
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